vsサラマンダー(キラー)1
強いのは分かっていましたが……
この威圧感、目安だった50倍を軽く超えていそうですね。
しかもキラーとして強化されている分通常個体よりもかなりデカイ。
「では、ガンナーさん
少し下がっていてください。
良ければ僕の配信機材を持っていって遠くからこちらを映していて下さい」
あと少し経てばこうやって声をかける事すらもままならなくなるだろう。
ジリジリとこちらに近寄るサラマンダーを前に僕は普段から使う刀を持ち射出機を腰に付ける。
「おう、じゃあ俺は離れたところで見とくから、死ぬなよ?穂高」
そんな一言を最後にガンナーさんは遠くへと走り去っていく。
………来る!!!
通常のサラマンダーとは比べ物にならない速度でこちらへと爪をたて飛びかかってくるその巨体に込められた力を刀の一閃で逸らす。
!!!っ
なんて力だ!
下手をすれば一瞬で体をえぐり取られかねないその巨体による突進は逸らされたにも関わらず逸れた軌道上のダンジョンを削りながら進む。
そして僕を殺せなかったと理解するやいなや炎のブレスをこちらへと浴びせかけようとする。
20mは離れているのにも関わらずそのブレスは途中でとぎれる事もなく一直線に、吐き出された直後の破壊力を維持したまま炎の波がこちらへと押し寄せ、ダンジョンの隅々を焦がしていく。
流石にランクA+の探索者でもその大半が直撃すれば重症は免れない威力だろう。
そう思い少し下がりつつこの炎のブレスを避ける、しかし遠距離はブレスを乱発出来るであろうサラマンダーの方が本来は有利。
もう既に勝った、とでも言うかのようにサラマンダーはブレスの準備を始める。
だが、既にこの距離は僕のテリトリーだ。
僕は腰に付けていた射出機を取り出し右手に刀、左手に射出機を持つ。
そして予めセットして置いた石をサラマンダーに撃ち込む。
ヤツは間違いなく慢心している、多分僕に勝てると思っている最中だろう、だからそこを狙う。
飛んできた石ころ1つ、気にする理由も無いだろう。目に当たったとしても石ころ程度では自分を傷つけることすら出来ないと言う本能ながらの理解。
「事象再現」
サラマンダーの目に当たった石はまるで鉄にでもぶつかったように カァン!と音を立てて弾かれる。しかしそれと同時
サラマンダーの右目が砕け落ちる
「ガゥオ゛ァァァ゛ァ!!!」
怒りと困惑から来るサラマンダーの咆哮、ただの叫びでありつつも内包した炎によりこの階層の温度が少し上昇する。
「ははっ、少しは焦ってくれたかな?」
どうやら企みは成功したらしく僕はサラマンダーの視力の半分を奪う事に成功したようだ。
しかし逆に激昂したサラマンダーは半ば狂乱ながらこちらへと突進を開始する。
先程は刀で突進の軌道をずらす事が出来たが何度もやり過ぎると刀の寿命を縮めるし、何よりこの体がもたないだろう。
だから投げた石への警戒を利用させてもらおう。僕は体に付けている小さいバッグから石を取りだし射出機に取り付け、狙いをサラマンダーに定める。
するとサラマンダーは、やはり進行方向を変えた。
……やっぱり、使えるな?
僕は持っていたカバンから殆どの石を投げ捨て俺の周囲に散らす。
撒いた数は30、そしてそれらの全てが事象付与済み。
サイズは決して大きくは無い、だがこの石に触れたら「目が潰れた」、それしかサラマンダーは認識できていない。
ならばこの場合サラマンダーが取る選択肢は1つだろう。
サラマンダーは石に触れないように遠距離攻撃をしたいはずだ。
だからこうやって今離れた場所から大きく息を吸い込み、ブレスを吐く準備をしているんだろう?
分かっている。
だから……来い!!
♢
トピック:魔力
地球のそこら中にある空気と同じ様なもの。
魔力は使用すると負の魔力へと変化し、それがダンジョンに吸われモンスターへと変化し、モンスターが死ぬと正の魔力の塊である魔石へと変化する。
ある種千変万化であり、何にでもなりうる可能性を秘めている。
近年には幽霊といった超常現象はこの魔力によって生み出された魔力の不調である事が判明した。
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