発見!ガンナーさん
「映っていますか?これ」
ダンジョン内を走りながらライブ配信を付けた僕は、追従型のカメラ付きドローンに問いかける。
・ホタテやん
・おっすホタテ
・ここどこホタテ
ドローン付属のモニターに表示されたコメントはライブ配信が機能している事を明確に教えてくれた。
「場所は……今ガンナーさんがいるダンジョンって言えば分かりますかね?
僕今日から須佐之男に入ったので日永さんから早速イレギュラー殺してこい、と言われまして。
……それと僕はホタテじゃないです。というよりこのくだりは日永さんともやりましたよ。」
・須佐之男入隊まじか、おめでと
・おめでとうございます!
・じゃあこれからガンナーさんと合流ですか?
・日永も俺らと同じ事してるの草
コメントに目を傾けて少し返事をしつつダンジョンを下る。
「先程誰かがコメントにも書いていましたがガンナーさんと合流するつもりです、自分が遅刻しちゃったので暇で先に入ってしまったらしいので今追いつこうとしている所ですがね。」
流れるコメントを目で追えばガンナーさんは今4階に入って行ったようだ。僕は走りながらもう2階の中盤まで来ている、このペースならキラーがいる7階にガンナーさんが到着するまでに合流出来るだろう。
2階に入るまでに出現したコボルトやサラマンダーは戦うまでも無くスルーするか邪魔だった場合は適当に切り捨てて進んでいる。
サラマンダーは大まかに言えば大型のトカゲ、サイズは全長で1.5m程だがランクA+の人間にとっては幼児とさほど変わらぬ存在、抵抗する間もなくそれは魔石へと姿を変える。
魔石を放置するのは勿体無いがダンジョンに吸収されて魔力が世界に循環するのだ、むしろ自然に貢献したと言って良いだろう。
・相変わらず無言でモンスター切り捨てるの草
・今の所スキル使用も無しか
・ここでスキル無駄打ちしたくない人がホタテやしなぁ
とりあえずこのダンジョン用にバッグに30個ほど手軽な石を詰めてきた、勿論事象は付与済みだ。
僕のスキル「事象付与」
は物を指定し僕が何かを介してその物に事象を直接与える、するとその事象が無かったことに無りその事象が籠った「物」が出来る
というものだ。
例えば8cmの石を切ったとする、その際にスキルを使用すると石は切られておらずその石を介しスキルを発動すると石が触れている場所に8cm、物の硬さや柔らかさを関係無しに切断する、無法と言っていいだろうスキルだ。
そしてその事象はストック可能、故に
手のひら程のサイズの石を握り潰した物をストックとして保存している。
これがあればこの石を射出した際に相手が石に触れると、その石のサイズ分相手の体が砕けるのだ。
今回用意してきたのは直径10センチにも満たないサイズではあるが、全て当てれば相手の体を砕くには十分な石達。
・おいおい、またホタテ黙って多分付与済みの石手に持って眺めてるぞ
・こいつ怖い
・なんで石見つめながらサラマンダー斬り殺してるねん
「あぁ、すみません。少し考え事がすぎました。」
どうやら僕はバッグから1つ石を取り出して眺め続けていたらしい。
そして気が付けば既に4階層に居た、ガンナーさんは今5階層の中盤のようだ。
もう少しで間に合うだろう。
走る速度を上げて
「すみません、酔うかも知れませんがガンナーさんに追いつくまで我慢してください。」
視聴者達に注意喚起を行い全速力で走る。
モンスターも気にかけず邪魔ならば壁すらも走る、その様子を見た視聴者はと言うと……
・この大人しさ、忍者のような素早さ、配慮のできるイケメン……だけど
・カッコイイしイケメンなのに……なぁ
・なんでこいつバーサーカー寄りなんだろうな
普段の配信中の穂高を知っているからだろう、すごくガッカリしていた。
そしてようやく
「あれは……ガンナーさん! ガンナーさーん!!!」
♢
トピック:探索者の義務
探索者はダンジョン内でどのような事を行ったかを記録しギルドに提出する義務が存在する。
そのうち基本的に三つの方法が存在し、
起きた事象を事細かにメモし提出する方法、ダンジョン内の探索をカメラ録画し提出する方法、ライブ配信を行いネットに上げる方法
が存在する。
最近の時代は主に3つ目の方法が好まれて使われている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます