早速の初仕事

「さ、ホタテ君仕事やで。

今回の件なんやけど、イレギュラーって訳じゃなくてね……たまたま安定して自浄作用を続行してたキラーが死んだらしいんやけど、その次に新しくポップしたキラーの強化倍率がやばいらしくてなぁ。」


日永さん曰く、キラーを殺してこい。というお達しらしい。

キラーはダンジョンに存在する徘徊型のモンスターでダンジョン内にポップする通常のモンスターを殺しては魔石に変換、そしてダンジョンが魔石を魔力に変換し地球全体の空気に安定して魔力を充満させるための自浄作用だ。


それが死んではダンジョン内の自浄作用が間に合わずオーバーフローする可能性もある、基本キラーは死んでも次の日に新しくポップする訳だが。

そしてキラーが安定して通常モンスターを倒す事が出来るのは良い事だが、強すぎるとモンスターを殺し魔石を集める探索者からしても厄介なもの、キラーは基本的に通常モンスターの数十倍のステータスを誇るため下手な探索者なら普通に死ねるのだ。


だからこうやって強すぎるキラーが現れた時にもう一度殺して少し弱めのキラーをリポップさせる。

僕にとってはとても嬉しい話だ。だって

「つまり通常のキラーよりも強めのキラーと戦えるって事ですよね!」


日永さんは呆れたような瞳でこちらを見つめる。

それが呆れたような視線だったのか諦めた視線だったのか僕には判断が付かないが……まぁいいだろう。


「それじゃ説明するで?

今回の指定のダンジョンはすぐそこにある、Bランクのダンジョンやな、詳しい位置は今ホタテ君のスマホに送った。」

そうして僕のスマホに通知音が鳴る。

「んじゃ次!

探索記録のスタイルは配信で頼める?今実はガンナー君もここら辺に来ててなぁ、一緒に配信してきて貰えへん?顔合わせついでに。

ホタテ君の強さは知ってるけど一応ガンナー君も連れて行けたら安心やしね。」


唐突に須佐之男のメンバーである「ガンナー」が付近に居ることを明かされる。

そして探索記録に関しては基本的に配信の方法を取っている僕には問題のない事だ。

ダンジョン内での探索はどのようなものだった

かギルドに提出をする必要がある。

映像を撮ってそれをギルドに提出する方法、ダンジョン内での活動をネットに投稿する方法、ダンジョン内での探索の証拠を写真に取り提出する方法。

それぞれ三者三様のメリットデメリットが存在するが、僕は特に楽な配信の手段を取っているのでいつも通りの事をすれば良い、ならば簡単という訳だ。


だから頼まれた事に特に問題の無かった僕は

「わかりました」

と返事をする。


「ガンナーさんとは現地集合で良いんですかね?」

付近に来ているとは聞いたが今ここに居ないのならそうだろうとわかってはいるが質問をしておく。

「そうやなぁ、多分現地にはもうガンナー君おるから、ホタテ君準備もあるやろうけどある程度急いだってな。」

と地雷を放ってくる。


一応須佐之男の新参メンバーという枠組みになった僕からすればガンナーさんは先輩なのだ、待たせるとかちょっと出来ない。


「そういう事は早く言ってくださいよ!

それじゃ僕はもう行きますからね!」

僕は焦りながら準備の為に先程居たギルドに戻り準備をしに行く。



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焦りを見せながら走って行ってしまった穂高君を目で追う。

「いやぁ、元気な子が入ってくれたもんやなぁ。まぁ私が誘ったんやけど。

にしても…………ほんまにおもろいスキルやったなぁ、まだまだ伸びそうで…うん。」

そういい日永はあの異常なスキルの感触を思い出し、一人笑う。


「あぁ、面白くなりそうやなぁ」


そんな彼女のつぶやきは、彼に届く事は無かった。



♢

トピック:キラー

基本的に探索者もモンスターも見境なく攻撃する赤色の体色のモンスター。基本1つのダンジョンに一体しか同時に存在できず、死んだ場合新しいキラーが生まれる。

キラーは生まれるダンジョン内で出現するモンスターの強化個体であり、強化幅は基本的に10倍から50倍

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