第7話 宝箱の中身

 さて、部屋の奥に鎮座している宝箱。

 開けるよな普通。

 だが罠の可能性がある訳で。

 しかし俺氏、いかに魔法を沢山覚えたとはいえ、罠解除の魔法って取得していない。

 そもそもあるのか?

 普通の魔法屋には扱っていなかった。

 魔法ってのは基本、魔導書に手をかざし魔力を注げば習得できる。


 うーん、どうするか。

 既に魔石と金色の玉で俺が持っているカバンは一杯だ。

 ここで所謂収納かばん系のアイテムが出てくれたら助かるんだが。

 お腹のポッケでもいいが。


 万が一罠が仕込まれていたとして、それで何かあっても今更だ。

 俺氏、DERODERO収納かばんと祈りつつもうどうにでもなれと開き直り、一気に宝箱を開けた。


 するとそこには俺氏が思い描いていた物とは若干違うが、一冊の魔導書が出てきた。

 俺氏に鑑定系の能力はないぞ。

 因みに心配していた罠は無かった。


 だが読める。

 今まで読めなかった魔道書だが、何故か日本語で書かれている事に気が付いた。

 今まで前世の記憶が無かったから気が付かなかったのだろうか。

 お?もしかして初めて前世の記憶が役立つ時が来た?


 で、表紙には・・・・ストレージのスキル(ダンジョン内での使用可能)

 と記載があった。


 あれれ?魔道書ではなくスキルの書なのかこれ。

 こんなのあるなんて知らなかった。

 しかもストレージ!

 所謂収納だ。

 俺は早速スキルの書に手をかざし、魔力を込めた。

 魔道書とそっくりで、これ表紙を読めなかったら違いが分からない所だったぞ。

 すると体内に何かが入り込むような感覚があり、スキルの書はその場から消えてしまった。

 もしかして一度だけの使いきりだったか?

 だが安心してて欲しい(何に対してだ?)。

 俺氏スキルを手に入れた時、頭の中に使い方が入って来た事を感じたからだ。

 つまり、収納ストレージと念じつつ対象のアイテムに触れていると、何処かに取り込まれるんだ。

 そして再び念じると、掌に念じたアイテムが出てくる。

 これは便利だ。

 しかしこんなの聞いた事が無いぞ。

 そしてふと思った。

 こんな部屋がいくつもあった。

 もしかして部屋の魔物を全滅・・・・させる必要ああるかどうかは分からないが、部屋には宝箱があって、中身はそれぞれ価値のあるアイテムが入っている可能性がある。

 やはり魔物を全滅させないと悠長に宝箱を開けるなんてできないと思うが。

 さて、折角だからさっき回収した魔石を全て収納してみよう。

 俺は魔石をひとつかみ手に取り、収納ストレージと念じた。

 すると手にした魔石は消えた。

 もう一度念じると出てきた。

 俺はこう言った事を何度か繰り返し、消滅していない事を確認し全て収納した。


 いやあ、こんな便利なのスキル、何か裏があるんじゃね?って警戒したから何度も試したんだ。


 そしてここで再び失念。

【失念その3】

 俺氏自分の変化をきちんと調べてみなかった。

 既に何度も魔法を使用している上にこんなスキルを使用して、何か不具合がないかってちょっとぐらい調べたり様子を見たりすべきだったのだが、俺氏は舞い上がりすっかり失念してしまっていた。

 そして次のアイテム!と舞い上がり嬉々として部屋を出て、次のドアを開けようとした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る