第8話 ダンジョン探索に必要な物

 次の宝箱は何ぞや!

 俺氏、欲望駄々洩れのまま次のドアを開けてしまった。

 猪みたいな魔物だった。

 確かボアとかいう奴だ。

 猪のような体型だが、デカさが違う。

 2m以上はあると思われる体高。

 頭を含めると・・・・ボアだから頭はさほど高い位置にはない・・・・2メートル50センチ程度か?

 体長は恐らく4メートルはあるだろう。

 そんなのが数十頭以上ひしめいていた。


 俺氏、一旦扉を閉めた。

 あれ、焼けば美味しくね?

 この頃になると俺氏、腹が減っている事に気が付く。

『次はファイヤーで焼こう!』

 ダンジョンで魔物を仕留めてもドロップアイテムしか得られないのだが、そんな事をすっかり失念していた俺氏はそう決心するのだった。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 ウィンドもそうだが、ファイヤーも威力は殆どない・・・・はずだった。

 再び扉を開け、ボア目掛けて試しに一発放ったが、握りこぶし程度のファイヤーだったにもかかわらずボアに当たった瞬間、ボアが燃え始めた。

 その後ファイヤーは別のボアの所へ向かい、次々とボアが燃え始めた。

『何これ怖い。』

 思わず独り言ちた。

 何せどう考えても火種程度とは言わないが、とてもではないがボアなんて仕留められる大きさのファイヤーではない。

 それがどうだ?

 ボアに当たって消滅するどころか、ボアに当たった後もそのまま違うボアの所へ向かったのだ。

 その後もボアに火がつくとファイヤーは移動をし、最終的には全てのボアが焼け焦げになり、ドロップアテムとなった。


 地上でのボアは多くの肉が得られるものの血抜きと解体が必要で、手間がかかる。

 それに比べダンジョン産のボアは魔石と肉をドロップする。

 但し地上で仕留めるボア程の肉は得られない。


『肉が地面に落ちている。回収しつつウォッシュをかけておくか。』

 使う時に土まみれだった場合洗ってからでないと食べられないからな。


 こうして俺氏、食料をゲット。

 そしてまたもや宝箱。

 肉をどうやって焼くかなあ?

 そんな事を考えながら宝箱を開けたら、簡易の窯と調理道具一式が出てきた。


 一体宝箱の中身はどうやって決まるんだ?

 俺氏、扉が複数ある場所にやってくる途中ですっきりしたが、実はそこには意味深な言葉が彫られていた。

 丁度そのスペースがトイレ代わりと判断した訳だが・・・・

 その時気が付けば、このような言葉が彫ってあった事に気が付いたであろう。


【試練の間:汝、奥へ向かうにあたり必要な品物を手に入れるべし。必要なければ無視してよい。】

 ダンジョンを攻略すべく入った冒険者達は、一度はここを通る。

 そして必要な品物を各部屋に入り、魔物を仕留め宝箱から得る。

 その宝箱は願ったものが手に入るのだが、ダンジョン上層なのに下層を攻略する戦闘力が必要となり、大抵の冒険者は一度チャレンジしつつも無理と諦める。

 こうした部屋は一度に入る事が出来る人数に制限があり、最大6名しか入れない。

 10メートル程度と思われる幅のスペースなのだが、奥行きは100メートル程あり、そこに100体はいそうな数の魔物がひしめいているのだ。

 ボアであれば身動きができない。

 そして魔物は部屋からは出ない。

 だから一度はチャレンジするのだが、大抵は魔物の物量に勝てず、諦める。

 何せここを攻略せずとも奥へは行けるのだ。


『これ、最初にストレージ手に入れたからいいが、無ければ持ち運べないじゃねえか!』


 俺氏またもや一人で激おこだった。

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