私の旅路に別れは要らない

送り手

第0話 退屈からの離別

退屈だ。実に退屈な生活に退屈な時間の流れ方だ。

早朝に清らかな泉で顔をみそぎ、新鮮な果実をもぎとり、お天道様が私の真上に来る前に里のみんなに果実を渡して周り、夜になるまで部屋で内職を行いそのまま眠りにつく。


これが私の退屈な毎日だ。

ところで...私自身のことを紹介していなかったね。

私はオクナの里で生を受けたエルフのシャリア・カガリ、134歳。

シャリアが名で、姓がカガリ。姓の方はめったに名乗ることはないんだけどね。


成人の儀は終えているからエルフの中では若い方だけど立派な大人のレディーなんだ。


そのとき、カランコロンと家のドアについたベルが鳴りました。そういえば私の両親を紹介していませんでしたね。

おそらく帰ってきたのは私の両親のトリシャお母様とランプお父様だと思うので後々紹介しますね。


では、玄関までお出迎えに...と向かった私がはじめに目にしたのはドアの先で燃えさかる里と血だらけの両親の姿だった。

「お父様!?お母様!?」

と急いで二人の元に駆け寄ると二人の背に大きな切り傷があることがわかり、癒術を懸命にかけてなんとか止血することができた。


そのときランプお父様の口がかすかに動いた。

「...に、げ...ろ...」と。


私は数分の間、その場から動けなかった。


そして、その後少しの荷物と愛用の杖を持ち、里を後にした。

これが私の退屈な日常からの別れになるなんて。


今となっては思い出したくない思い出だ。


この日から私は備忘録として日記をつけることにした。


もうこの日記に別れの記憶なんて書きたくもない。


今日はもう寝よう。


                      とあるエルフの備忘録






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私の旅路に別れは要らない 送り手 @Kagari3972

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