王女は永遠に醒めない世界の中を生きる

第1章 回顧録編

序章

　王女は残酷な現実から目を逸らすべく、自分が幸せだと思う世界を作り上げた。

　そんな彼女のことを、たった一人見守り続ける騎士である青年は、残酷な世界に目を背け続ける王女である彼女のことを見つめながら、普段通りに接することしか出来なかった。

　どうしてこうなってしまったのだろうか。と彼女に仕える騎士である男は思う。そして、全てはあの出来事から始まったのだと。7年前のあの日のことを思い出し始めた。