第37話 月極駐輪場での一幕
この10月から電車通勤を行うに当たって、最寄り駅前の月極駐輪場に行ってきた。
亡くなった父がずっと利用していた駐輪場で、僕も同じ駐輪場を利用することになるのだが、窓口で手続きをしていると係のおじいさんが僕の名前を聞いて「どこかで聞いたことがあるような名前だなぁ」と言った。
昨年の7月まで父が世話になっていたこと、父が亡くなったこと、10月からは父と同じく僕が電車通勤をするため駐輪場を利用したいことを告げると、係のおじいさんは「はぁはぁ」と言いつつ、父が利用していた頃の登録番号は既に抹消されているため、新たに登録番号を起こすからと言ってくれた。
申込用紙に必要事項を記入し、おじいさんがその用紙に登録番号を黒のマジックで書き込んでいく。たまたま空いていた一番若い番号を充てると言われたが、出来ればもう一つ後の番号(カミさんが昔飼っていた猫の名前と語呂が似ている)を充ててほしかった――のだが、余計なことは言わずに、黙って新しい登録番号を受け取る。
おじいさんの話では「このシールをリアフェンダーに貼っておくように」とのことで、登録番号を書いた丸い銀色のシールを渡された。そしてリトルカブを見ると、なるほど言われた場所には生前の父が貼っていた、渡されたものと同じようなシールがリアフェンダーにあった。
父が貼ったシールを剥がし、新しいシールを貼るのは少し複雑な気分だったが、これで通勤のための準備は一つ整った。雨や雪の日はカミさんに送迎してもらう予定だが、基本的にはリトルカブで最寄り駅まで通勤することとなる。
まあともかく、あまり無理をしない範囲内で頑張ろう。
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