第28話 チョークな季節
寒さが随分と身に染みてきた。リトルカブと迎える、初めての冬だ。
リトルカブに乗る機会は、寒さが増すごとに減ってきているが、エンジンオイルを潤滑させてエンジンを保護するために、週に一回はエンジンをかけている。
時間と天気と気力体力が許せば、市内を動くだけでもリトルカブに乗るようにしているのだが、この時期に感じるのはエンジンの掛かりにくさ。夏場であればキック一発で掛かってくれたエンジンが、なかなか掛からない。
最初はキャブ車ということで、いつぞやの時のようにアイドリング調整が必要なのかとも思っていたが、結論から言えばチョークレバーを引いてからエンジンを掛ければ、一応キック一発でエンジンは目覚めてくれた。
ただし、エンジンが掛かった後、ある程度エンジンが暖まってくるまでは微妙にアクセルを開け続けておかないと、またすぐにエンジンがストップしてしまう。そして、チョークレバーを引きっぱなしにしていても、やはりエンジンがストップしそうになる。
こういう時、FI(フューエルインジェクション)車だったら、などとも思ったりするが、寒い時期に手が掛かることを楽しめるかどうかも、キャブ車に乗るライダーに求められる資質の一つなのだろうか、などと考える。
それにしても、動かしても消耗するが、動かさなくても消耗していく(特にバッテリーなど)というのは、まことに手が掛かって仕方が無い。また、生前の父は真冬の時期でも最寄り駅までリトルカブで通勤していたのだが、今更になって頭が下がる思いでもある。
父の思い出を劣化させないためにも、週一回の手間ぐらいは惜しまないようにしていきたいところだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます