第27話 結局のところ
いよいよ本格的な寒さの気配を感じるようになった。
11月の始めぐらいまでは比較的暖かい気候だったため、リトルカブに乗る際にもそれほど気になるようなことはなかった。だが、つい先ほど(11月中旬)夕方に買い物へ出かけた際に乗った時には、他の部分(防寒着やバイク用の膝掛けなど)に問題はなかったものの、手袋の部分だけが刺すように痛かった。
それはそうだろう。これまで使っていたグローブは父が亡くなる前日まで使用していたもので、時期的には春~秋用のものだった。風通しの良さから夏の暑い時期でも普通に使えたのは意外だったが、その風通しの良さが冬の時期には辛い。
というわけで、実は少し前から何度かバイク用品店へと足を運び、冬用のバイク用グローブの品定めをしていた。そして、その結果から言うと「今のところはありあわせのもので十分」だった。
本当のところを言えば、そりゃバイク用のものの方が好ましいに決まっている。手のひらの部分にクッションがあったり、手の甲の部分のガードがあったり。特に万が一のことがあった時などには、ガードの有無は結構大きな差になりそうな気もする。
とはいえ、第25話でも触れた話だが、若かりし頃の郵便局のアルバイトでは郵政カブに乗る際、普通の手袋を使用していた。要はひとまず寒さをしのげれば良いわけだ。かっこいいもの、使い心地の良さそうなものを選んでいくと、どうしても値段が張ってしまう。
そこで思い出したのが、昔家族でスキーに行ったときに買った手袋のことだった。耐擦過性や耐衝撃性はともかく、防寒性については問題が無いはず。
早速家に帰って押し入れの中から、お目当ての手袋を引っ張り出した。実際に手にはめてみると、若干のごわつきは感じられるものの、バイクの運転には特に支障はなさそうだった。
うん、ひとまずはこれで現状をしのいでみよう。これでもまだ具合が悪いようだったら、その時に考えれば良し。それよりもこれからの冬の時期、どれだけリトルカブに乗れるかの方が気になるといえば気になるところ。
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