第15話 バイク用カバーを買った理由
近所のホームセンターで、バイク用のカバーを買った。自転車でもよく使われる、銀色のシートで出来たアレである。
実のところ、リトルカブの置き場には少々困っていた。というのも、我が家は子供達が車を持つようになったときのために、駐車場のスペースはある程度の余裕を持たせていたのだが、それでもリトルカブの置き場がなかなか決まらなかったのだ。
原付一台のために車用のスペース一台分を使うという訳にもいかず、かといって駐車場スペースのどこに置いても車を停める際に微妙に邪魔になる。油断が過ぎると、車を駐車する際にリトルカブにぶつけかねない。
かと言って、家の前に停めておくというのもためらわれた。我が家の土地の形状から、玄関の門の前のスペースは私有地になってはいるが、完全な露天駐車となってしまう。車もそうだが、バイクも露天駐車は紫外線の影響を受けて、劣化が進んでしまうことだろう。
色々と悩んだ挙げ句、庭を突っ切って母屋の軒下に停めることにしたのだが、それにしたって一定の時間帯に限られるとはいえ、直射日光にさらされてしまうことが分かった。そこで少々面倒くさいが、バイク用カバーの採用となった訳である。
ホームセンターで購入した、1,400円程度のバイクカバー。サイズが違っても値段は全部一緒だったため、大型のウインドスクリーンを装備するリトルカブのために一番大きなサイズを買った。本来であればリッターバイク用のカバーサイズだった。
紫外線の影響を受けそうな部分はハンドルグリップやミラー、シート、ステップのゴム部分、レッグカバーなどが考えられた。これらのパーツの劣化が進み、それぞれを修繕のために買い換えることを考えれば、1,400円のカバーを劣化する度に買い換える方が安上がりだと思ったのが、このカバーを購入した第一の理由だ。
そして第二の理由は、出来るだけ長く「父が乗っていた頃の状態」を保ちたかったからだった。先に挙げた紫外線の影響を受けそうな部分には、父が乗っていた頃(というか、父がバイクで転んだ時)の傷跡が色々とついている。幸いなことに、現状においてそれらの部分は部品の交換が必要なレベルにまでは傷んでいない。
個人的にはこういった傷はさっさと修理して、新品に近い状態で保有したいところなのだが、リトルカブを受け継いだ理由が理由だったため、これらの傷跡は父が生きていた頃の思い出として残しておこうと思っている。
とは言いつつも、ハンドルグリップぐらいは交換しておきたい気もしていたり。ガサガサ、カピカピの状態のゴムなので、これがベタベタしてくるようであれば要交換といった感じだろうか。
あと、主にキャリア系の後付けパーツぐらいは別に良いかなとも思っている。いずれにせよ、日常メンテナンス以上の現状変更は相続の手続きがすべて完了してからだと思ってはいるが。
いずれにせよ、リトルカブの存在は僕の生活に色々と影響を与え始めている。リトルカブに乗ることで、今までとは何かが違ってくるのではないかといった僕の思惑は、概ね当初の想定に近い形になっていると言えるだろう。
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