第14話 リトルカブでプチツーリング

 今日は休みだったので、用事を早めに済ませてリトルカブで出かけた。


 と言っても、行き先は隣町の古本屋だ。距離にして片道約20キロメートル、感覚的にはプチツーリングである。


 これまでは車で散々走ってきた道をリトルカブで走ると、やはり今までとは違うものが色々と見えてくる。


 まず一番に挙げられるのは、思っていたよりもバイクが多く走っていることだった。車で走っている時には特段気にもしていなかったバイクの存在が、自分もバイクに乗っていることで気になってくる――他人のバイクがうらやましく見えることも多々あるが、そこはそれ。まずは自分の相棒に集中する。


 原付なので出せるスピードも限られているし、もっと疲れるものかと思っていたけれども、実際に走ってみると疲れはそれほど感じなかった。おそらくは大型のウインドスクリーンのおかげだろう。


 車に比べて、気になるものを見かけた時に気軽に足を止められる感覚も新鮮だった。今回は道端で轢かれていたハクビシンとおぼしき小動物の死骸を見かけ、思わずバイクを停めてしまう。南無阿弥陀仏。


 それにしても、信号待ちで並ぶ車の横をすり抜けて前に出るバイクは何とかならないものだろうか。同じ車両なのだから車列に並んでいればいいものを、わざわざ狭い隙間をせこせこと縫うように走って、停止線よりも前に出てドヤ顔でバイクを停める。正直見ていて気分は良くないし、余裕が無くて格好悪いと思う。


 あと、かなり狭い横の間隔で追い抜きをかける年寄りの軽トラも勘弁して欲しかった。だいたいの車はかなりの間隔を空けて追い抜きをかけてくれるのだが、こちらを視認した上でわざわざ近い距離を走って行くのは嫌がらせの一種なのだろうか?


 その二つを除けば、概ね機嫌良く走ることが出来た。まだ残暑が厳しい時期だったが、バイクで走っている間は風が当たるのでそれほど暑さも感じない。お米の収穫の時期ということもあってか、田舎の車道はどことなくのどかな雰囲気が漂っていた。先日調整したエンジンのアイドリングについても、調子は良い感じだ。


 目的地の古本屋では、何冊かの本を手に入れることも出来た。こういう時、リトルカブのリアボックスは便利だ。スペースは限られているものの、多少の手荷物であれば収納することが出来る。ただ、本音を言えば更にサイドバッグなども追加してみたいのだが、リトルカブのリアキャリアの大きさの関係からこれは難しそうだ。


 初めてのプチツーリングは約3時間程のものだったが、休日の気晴らしは十分に出来たと思う。今までだと住んでいる街の中ぐらいまでだったリトルカブでの行動範囲が、もう少し範囲を広げてもそれほど疲れないことも分かった。


 これから少しずつ秋の気配が近付いてくる。また時間を作って、リトルカブでどこかへ出かけてみようと思う。

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