第3話 いざ冒険者ギルドへ

 この草原には本来、魔物がいたるところに現れる。

 だが、魔物たちは音に驚いたのか、姿を消してしまった。

 魔物と対等に戦えるほど、ギフトをまだ理解出来ていない俺としては好都合だ。

 今のうちに、町へ向かおう。

 と言いたいところだが、何も武器を持たずに行くのは危険だ。

 念の為、武器は準備しよう。


 俺は近くに落ちている木の棒と、小石を拾えるだけ拾う。

 

 「これだけあれば十分かな」


 俺はその場に屈んで、拾った木の棒と石を地面に並べる。

 そして俺は木の棒を一本、手に持つ。

 よし、やっていくか。


 「【能力付与 -呪-】」


――――――――――――

能力の付与に失敗しました

この武器は破壊されます

――――――――――――


 俺の手から木の棒が消える。


 「失敗だと、こういう感じなのか。幸先悪いな」


 俺は繰り返し、能力付与を発動し続ける。


――――――――――――

小さな石 -呪- の制作に成功しました


CPが増加します


*呪われている為、制限が掛かります

――――――――――――


 そして、全ての能力付与が完了した。


 手元に残ったのは、木の棒5本と、小石10個だった。

 元々拾った数は、木と石合わせて30ほどだったから、成功率はなかなか高いみたいだ。

 約2分の1の確率で、とんでもない威力のアイテムを量産できるとなると、このギフトはやはりぶっ壊れているな。

 俺は能力付与のヤバさに再度驚く。


 今回は石にも能力付与を試してみたが、どうだろうか。

 木の棒と変わらず、付与前と付与後で見た目に変化は無い。


 俺は石を右手に握り、何が起きてもいいように自分から離れたところに投げる。


 「おらぁ!」


 石は綺麗な放物線を描きながら、飛んでいく。

 勢いが失速し、石が地面に触れた。


 その瞬間、石は爆発した。


 ドゴオォォォォォン!


 爆音と同時に半透明の窓が現れる。


――――――――――――

小さな石 -呪- の使用制限に達しました

このアイテムは破壊されます

――――――――――――


 「石は一回しか使えないみたいだな」


 石が落ちたところを見に行くと、そこにはきれいな穴が空いていた。


 一回しか使えないとしても、この威力なら十分過ぎるな。


 俺は木の棒と石を、持っていた大きな皮袋に入れて肩に掛ける。


 「これで準備万端だ。町へ向かおう」




************




 目的の町、ベントロルに到着した。


 この町に来るのは、かなり久しぶりだ。

 昔、家族と来たことがあった。

 今日からは一人でお世話になるけどな。


 「俺の記憶が正しければ、こっちなんだよな~」


 昔の記憶を頼りに、町をふらふらと歩き回る。

 この町の建造物は石造りで、シックな印象を受けるものが多い。


 「お! あった!」


 これがベントロルの治安の要。冒険者ギルドだ。

 他の建造物と同じ石造りで見た目も似ているが、大きさはかなりのものだ。

 この町の近くに現れる魔物の討伐依頼はここに来れば、誰でも受けることが出来る。


 俺は大きな扉に手を掛ける。


 そして冒険者としての一歩目を踏み出した。

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