第16話 日常編3
二学期が始まってまもなく。この日は放課後にみよりちゃんが遊びに来ていた。
「わあ、すごい。めっちゃ可愛いね。テディベアとか、子猫ちゃん、お馬さんまでいる。どれもPrettyの人気シリーズだね。かれんちゃん本当にすごい。こんなにたくさんお洋服持っているんだ。」
流石ロリィタ好きといっていただけある。みよりちゃんは私の部屋のクローゼットを眺めて興奮していた。
「いいなあ、かれんちゃんは。私は親が厳しくて、こんな高いお洋服は買ってもらえないの。学校もバイトは禁止しているし、欲しくても手が届かないよ。」
やっぱりお金持ちは違うね。と、みよりちゃんは少しだけ羨ましげにこっちを見上げて口をすぼめた。
「そんなことないよ。うちも全然庶民だからなかなか買えなくて。
フリマアプリとか漁ってやっとシリーズ揃えたりしていたんだ。」
動揺を隠して私は受け流した。
「そうなんだ。でもこんなに沢山お洋服持っているなんてすごいね。」
言ってから、みよりちゃんは今度はクローゼットの奥の方に、先日手に入れた新作のお洋服がかかっているのを見つけた。
「あれ、これってちょっと前に発売されて大人気だったカルーセル柄のジャンパースカートじゃない。あたしも雑誌見てて凄いツボな柄だったから覚えてるよ。」
そう言って、先日私が苦労して手に入れた戦利品を取り出した。
「この前発売日に即日完売だったやつだよね。手に入れるの大変だったんじゃない。」
「そうなんだよ。発売日に並んでやっと手に入れたんだ。」
「いいなあ___。」
みよりちゃんは羨ましげにお洋服を見つめていた。
「もしよければ、そのお洋服貸してあげようか。みよりちゃんは可愛いからすごく良く似合うと思う。みよりちゃんがそのお洋服を着て、私が別のお洋服を着て、今度一緒にお出かけしようよ。私、ロリータデートって一回してみたかったんだ。」
「え、いいの?
でもせっかくかれんちゃんが苦労して手に入れたものなのに、悪いよ。」
「いいの。まだ着てあげる機会がなくて残念に思っていたから。」
私は提案した。
「そこまで行ってくれるのなら、是非貸してほしいな、このお洋服ホントに憧れだったの。すごく嬉しい。」
「今後二人で原宿とか行こうね。スイーツ食べて、プリクラ取って。街を練り歩きたい。」
「ありがとうかれんちゃん。私、実はかれんちゃんのことちょっと誤解していたのかも。いつもICクラスの子とかに囲まれて目立ってたから、私達みたいなのは眼中にないと思ってたけど、全然そんなんじゃなかったね。」
そんな話をしていたらあっという間に時間は過ぎてしまって、みよりちゃんとは次にお出かけする約束をして別れた。私は、そんな彼女の背中を見送りながら一人ホクホクしていた。
やっぱり、こういう服装をしていると、多少なりとも誤解されてしまうことはあると思う。でも、まみやちゃんやアレックス、その他のIC特待生クラスの友達と同様に、もっと心を開いて接してみれば、きっとみんな理解してくれはずだ。
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