第2話20230829
私は席に座りで本を読んでいた。
すると、小さな悪魔が隣に座る。悪魔にも夏休みがあるのだろうか。
机に漢字ドリル広げる。
最初こそ真面目に取り組んでいた。だが、予想した通り数分後には溶けたように突っ伏していた。
彼の長いしっぽが上へ下へ流れて音を立てて床を叩く。
静かな図書館に煩わしいリズムが刻まれる。
どうしよう、注意するべきだろうか。
そんな私の蛮勇を、奥に座る悪魔が睨みつける。子ども悪魔よりも数倍大きい。私よりは数十倍大きい。
「ごめんなさい……」
何も悪いことをしていないのに、なぜか謝りたくなってしまう。
きっと私はガラスよりも弱い。
本を盾にして顔を覆い隠す。数分もすると悪魔が立ち去った。立ち去り際に「ッチ」と舌打ちが聞こえた。
私はなんだか疲れてしまって家に帰宅した。
空はすっかり暗くなっていた。
「ねぇ、妹子が部活から帰らないんだけど。知らない?」
母親が神妙な面持ちで尋ねる。
部活が始まったのが十四時。
時計の針は既に十九時を回っていた。
「ま、まさか」
私は身体が冷たくなる。それなのに節々がカァッと熱くなる。
クーラーの効いた部屋が異様にぬるく感じた。
「あ、悪魔が。たぶん悪魔がやったんだ」
扉が開いた。
「ただいま」
妹子は「腹減った」と座布団の上に寝転がる。
「ご飯まだ?」
呑気な妹子の鼻っ柱に、本の角を思い切りぶつけた。
一日小日記 夜が豚を食う。 @night-eat-pigs
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