第4話 犬は永遠
霧の向こうに、緑の物体が現れた。
コンクリート造の高速道路の下にうずくまっている。無機物のようにも、呼吸しているようにも思える。
まだ日は昇っていない。風が吹いている。
物体は霧のせいで軽く湿っている。触るとじんわり冷たい。
僕は物体に足を乗せ、一歩踏み出してみた。物体はかなり傾斜がきつかったが、軽い力でいとも簡単に最上部まで登れてしまった。
物体の表面は僕の足をやわらかく包んでいた。高速道路を走る車の音が近い。
風はいよいよ強くなり、霧は僕の顔を濡らした。
僕は物体に小さな穴を見つけた。昨夜の雨だろうか、水が吸い込まれていく。
とても長い時間物体の上で過ごしていたが、僕は帰らなければならなかった。帰って、朝食を食べて、仕事にいくのだ。
僕は憂鬱な気分で物体を降りた。
やはり物体は呼吸していた。
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