第25話 衣替えです。
「いやぁ〜忙しそうだったね!」
「鈴姉は楽しそうで良かったね!」(怒)
俺が疲れ果て教室から出てくるとニコニコしながら俺を待っていた。多分、由ちゃんはこの事を分かっていたから鈴姉の事を文化祭に呼ばなかったのだと思う。その判断は正しかった。でもその意思とは裏腹に鈴姉は来てしまったのだ。
(まったく…)
「それよりもーちょーと私に付き合ってよ」
「え?ち、ちょっと!?」
「いいからいいから〜♪」
強引に手を引かれ俺は連行された。
連れられてきた場所はお化け屋敷だった。由ちゃんとはチラッと見るだけで中に入る事はしなかった。何故なら怖かったから。
「さっ、行っくぞー」
「ちょちょ待ち!?鈴姉俺がこういう場所苦手なの知ってるよね!?」
「何言ってんのよ、男の子でしょ?そんな事言ってる子には由ちゃんを任せられないわねー」
「い、行きましょう…」
「そうこなくっちゃ♪」
いいように乗せられた気もしなくもないが…俺と鈴姉は一緒にお化け屋敷の中へと進んで行った。
「あー怖かった」
「うん、そうだね〜(訳:死ぬかと思った)」
所詮は学生の作った模造品だと侮っていた。中の作りも素晴らしく怖かった。もうね、怖かったんだよ。
「二度と入りたくはないね」
なんだかんだ言って楽しんだ後、突然俺は中庭のベンチに座らされた。強制的に、有無を言わせず…
「じゃここで待ってて」
「???」
そう言い鈴姉は俺を置いてこの場所を離れて行った。鈴姉の後ろ姿が完全に見えなくなった時頭上から声がかけられる。
「仁太何でここに!?」
「由ちゃ、ん?」
俺が驚くのは無理もなかった。そこにはスーツを着こなした執事。男装した由ちゃんがいたからである。
「え、カッコいい、え?」
「っ…仁太も来て!!」
意図せず口から出た言葉。その咄嗟に出た言葉は真実であり、嘘偽りない本心だった。その事が由ちゃんも分かったのだろう。
ボッ…
効果音を付けたいほどに瞬時に由ちゃんの顔は耳まで赤くなった。
そんな彼女に手を引かれやってきたのはー
「ようこそ、1-4H。コスプレの館へーって君か。由花に連れてこられたのかな?」
ロングスカートのメイド衣装を見に待とう三つ編み丸眼鏡。カトちゃんが俺たちをもてなす。
「せいか〜い。カトちゃんのクラスはコスプレの館なんだ」
「そそ。文化祭は2年に1回だからね。みんなには好きな衣装で思い出を作って欲しいからね。と言うわけで何を着るんだい?」
「へ?」
「女装でお願いします」
「由ちゃん!?」
「りょーかーい。一名様ごあんなーい♪」
「ちょっと!?俺の意見無視!?」
とまあ、俺の意見そっちのけで俺はカトちゃんと同じくロングスカートのメイド衣装に着替えさせられた。ちゃんとウィッグも着けられた。
大きな鏡で全体を見る。どこからどう見ても女の子だ。だがしかし声は俺なので違和感が凄い。
「くっ…落ち着かない」
「可愛い〜♪」
「可愛い!」
「そんな事言われても嬉しくありませ〜ん!」
「可愛いけどあれだね。脳がバグるね」
「黙らっしゃい!!」
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