第24話 デート後仕事です。

クラスの出し物を放置して出て来た事に罪悪感を覚えつつも俺は今の状況が夢なのではと頬をつねる。


「痛い…」


「当たり前じゃない、何してるのよ」


「いや、現実感がなくて」


「…?」


俺たちは人混みを掻き分けながら進み外へと出る。外では食べ物の出店が多く、文化祭ではなくお祭りのようだった。


「仁太待ってよ!」


「あ、ごめん。歩くの早かった?」


「早かったから逸れそうだったわ」


「ごめん」


「だから」


由ちゃんがいきなり手を握る。


「!?!?!?」


驚いた。でもそれ以上に由ちゃんの顔が耳まで赤くなっていることに驚く。


「自分からしたじゃん」


「うるさいわね。早く行くわよ仁太、離さないでね」


「はいはい」


そこからの時間は夢なのではと思うくらい充実していた。鯛焼きやドーナツ、射的やお化け屋敷、大掛かりな物だと脱出迷路なんかもあった。


「すげぇ…」


「みんながそれぞれ考えて一生懸命作った物だもの。凄くないわけないじゃない」


「それもそうだね」


一通り見て回って気づいた。由ちゃんがソワソワとしている事を。さっき携帯に来たメールを見てからだ。


「どうしたの?」


「いや…」


「あー!!!こんな所にいた!」


後ろからの元気な声に振り返る。


「鈴姉!?」


「お姉ちゃん!来なくていいって言ったのに」


「いやぁーね、由花達が頑張って作ったプラネタリウムは見なきゃでしょ。それよりお邪魔だったかしら?」


「うん」


「由花結構グサグサと刺してくるようになったわね…」


「由ちゃんは変わらないですよ?」


「あ〜そう言うことじゃなくてね。まあ、いいや。それよりープラネタリウム案内してよ!」


鈴姉が来ても由ちゃんは変わらず手を離そうとはしなかった。教室の近くまで来ると手を離し鈴姉を案内する為に教室へと入る。俺は少し名残惜しく手を見つめる。


「仁太マジごめん」


「気にしないで大丈夫だよ。それよりも鈴姉は由ちゃんに着いて行かなくて大丈夫?」


鈴姉は今俺の隣にいる。そして由ちゃんは教室の扉から顔を出してこちらを見ている。


「あ〜これは怒られちゃうかもしれないね。仁太庇ってね」


「無理だよ。巻き添えに怒られたら俺立ち直れないもん」


鈴姉はしゅんとしながら由ちゃんの所へと向かった。

そこからは大忙しだった。鈴姉は美人だ。何処からか噂を聞きつけた生徒や一般の方がそんな彼女と一緒にプラネタリウムを見たい!という願望を体現する為教室へと集まりだした。落ち着いていたクラスは見る影もなく長蛇の列に…

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