「あの雲、なにかに似てるな」
「このシミ、なんだかアレに似ている」
「水たまりの形が、アレッぽい」
幼い頃、そんなことを思い、想像を膨らませた経験はありませんか?
主人公の秋目ミツルは、シミや雲、水たまりなどのあいまいな形からなにかをイメージすることが好きな小学生。自身にも奇妙のアザを持つ彼は、ある日、不思議なシミを見つける。それは『境界紋』という特殊な紋様であると知らず、彼は異様な世界へと迷い込んで……。
意味のないはずのシミから、形を見いだし、物語を創りあげた発想に驚きました。『境界』と呼ばれる異界へ迷い込んだミツルは、一人の女性と出会い、『境界紋』の秘密を知ることになります。世界を守るために、戦いへ身を置くことになったミツル。戦闘描写は、熱く、テクニカルで、胸躍ること間違いなしです。
物語は重厚で、読み応えたっぷり。それでいて、主人公の一人称で綴られる文章は、スラスラと読みやすいものでした。
ちょっと変わったものが好きな少年が紡ぐ物語の果ては――?
最後まで目が離せない、ハラハラドキドキの物語です!