にじいろのいえ
遠野 歩
にじいろのいえ
ずっとひとりだった
うみおとされてから
もう ずっとずっと
ひとりでいいとさえおもっていた
ひとりでごはんをたべて
ひとりでそらをみて
ひとりでつりをして
それでいいとおもっていたんだ
あなたのこえがするまでは
あるひ、あなたはぼくをほめてくれた
「いい、いろね」
だって。
そして、はじめて「きょうかん」ということばをしった
それから、ぼくはまいにち まいにち
しをかいた
えをかいた
うたをくちずさんだ
そのたびにあなたは
いっしょになって
かなしんだり
よろこんだり
ぼくは すっごく はげまされたんだ
ときがすぎて
すこしのきっかけで
もう
あなたのえがおが
みられなくなった
みちが くらくなった
でも、もう ぼくはひとりじゃない
ぼくのにわのうえには
いまでも
あなたのいろと
ぼくのいろがあわさった
にじいろのいえがたっているんだから
(完)
にじいろのいえ 遠野 歩 @tohno1980
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