14話

 いても立ってもいられずに学校を飛び出して来たけれど、よく考えたらまだ昼休みだ。例え高校に着いたとしても、放課後になるまでは成瀬さんに会うことはできない。


「なんでこんなに一生懸命なんだろ、私」


 少し考えてみたけど、答えは見つからなかった。


 しばらく歩くと、成瀬さんの高校近くの駅に着いた。高校まではバスでも行けるみたいだけど、時間もあることだし徒歩で向かおう。そう決めてまた歩き出す。


 10分ほど歩くと、校門が見えてくる。地図の場所とも一致しているし、あそこが成瀬さんが在籍している高校のようだ。昼休みが終わり授業が始まっているのか、グラウンドから元気な掛け声が聞こえてくる。


 場所が把握できたところでとりあえずその場を離れる。就業時刻までかなりの時間があるから、校門から少し離れた場所にある花壇の近くで待っていることにした。


 度々近くを通り過ぎる人からの視線を感じながらも待っていると、校門からちらほらと生徒が現れ始める。


「そろそろ下校時間になったかな」


 ずっと同じ姿勢でいたから、体がガチガチだった。

 軽く伸びをして体をほぐした後、校門へと向かった。


 成瀬さんを探しはじめてかれこれ1時間は経っただろうか。それだけ探しても綺麗な黒髪を見つけることはできなかった。

 もしかしたら何かの部活に入っているのかもしれない。もしそうなら、苦労が水の泡だ。


「あと30分待ってみて、見つからなかったら帰ろう」


 そう決めて、もう一度校門に目を向ける。


 だけど結局、その日は成瀬さんを見つけることができなかった。

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