千賀大地は思考する~エピローグ~



 夏休みが終わった。

 色々ありすぎて楽しめなかった。



「……なに」



 久しぶりの部室で制服姿の向谷を見て一言。



「なんか、胸大きくなったな」



 パンっ! と頬で何かが弾ける音がした。またまたビンタを盛大に右頬にお見舞いされた。きぃ使えって。



 と、このビンタという行為。一昔前であればラノベのお約束と言ったところだろうか。が、近年の風潮としてそれは許されまい。



 男子が女子に「胸大きくなったな」という軽い挨拶セクハラをかますのもアウトだし、それに応戦して繰り出される女子から男子への報復ビンタもまた、アウトなのだ。



 そんな現代は、昔に比べたら嫌なことが減ったある意味良い時代なのかもしれない。が、それではちょっとつまらない。



 俺のセクハラ発言には、もはや弁明の余地はないだろう。だが、俺はここで思考部部員のプライドをかけて、今のビンタをセーフにする方法を思考しよう。



 目の前で顔を真っ赤に染めたRorohoにふさわしい言葉を。

 ――そうだな、この言葉を添えておこう。


 

 ”特別な訓練を受けています”、と。き





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向谷栞は思考する ツーチ @tsu-chi

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