第29話 身バレ? ゲーム内でリアルのこと話さないでよね!
その日の夜、帰宅し夕食後アズサちゃんから一度じゃ覚えられないからハーフアップのやり方をおさらい。
その後、普段の平日は22時くらいから一人でダイブして、ゴールド稼ぎとレベル上げとかPvPするんだけど、昨日のこともあって今夜はダイブするのやめようかな〜どうしようかな〜と悩んでると、
「忍さ〜ん、いいですか〜」とノックの音とアズサちゃんの声がする。
「ん〜? な〜に〜?」
「秀明くんが、『忍は平日夜一人でダイブしてるけど、俺たちもダイブするか〜。一応プロ契約したんだしなぁ。それに変なヤツがいるんだろ?』って~」
昼間は仕事の話以外しなかったけど、英明も気にかけてくれてるんだ〜とリビングに行く。
「おう、忍。今日から平日もダイブするぞ。俺たち一応プロだもんな」変なヤツのことは言わず、それだけだったけど嬉しい。
「う、うん……やろう!」
「じゃ、10分後に。転送先は『始まりの街』にな」
「りょ〜かい」
プレイ中に漏らさないようにトイレを済ませPCを立ち上げ、ギアでLOGONしダイブ。『始まりの街』に転送――っと。
やがてシューメイとアズサちゃんも転送されてくる。
アズサちゃんは前回同様バトルスーツを着てる。
「あら〜? シノブさんバトルスーツはどうしたんですか~?」と聞かれる。
「いやいやいや、あれはちょっと恥ずいから、運営から指示されたときだけにするし〜」今日のオレはいつもの迷彩服だ。
「今日はPvPやりたいな。昨日できなかったし、それにあと3ヶ月で優勝がかかった大会だしさ」と二人に伝える。
「廃都市はちょっと遠いけど行かない? あそこはPvPやりたい勢が多いし」
「おう」
「わ、わたしPvP初めてなんで大丈夫でしょうか……?」
「な〜に、PvPONにしてマップ上でPvPOKの赤い『▼』マークを探して、シューティングアシストシステムをONにしてからバレットサークルの真ん中にバレットライン通りに撃てばいいんだ」とシューメイ。
「随分簡単な説明だけど……そ・れ・に、このわたしの『天の秤目』と『鷹の目』使えばマップなんて使わずにす〜ぐ探し出せるから安心だよ〜」
「そ、そうじゃなくてですね〜アバターとはいえ、人を撃つんですよね〜?」
「ま、そうだが、今から慣れて練習しておかないと優勝できない」とシューメイ。
「わ、わかりましたぁ〜」と半泣きのアズサちゃんかわいい〜。
「そういえば大会ってさ、本来なら今頃開催されるはずなんだけど3ヶ月後っていうことは、オレのあの件で延期されたのかな?」
「あ〜ちょうど時期が重なったかもな」
「だよね〜。でも半年に1回ってちょっとスパン短いよね」
「確かにな。1年に1回でいい」
と、三人でわいわい言いながら『首都』を過ぎ廃都市を目指す。
今日もやっぱりなんか視線を感じる――と思ってると、12時の方向に見慣れた二人、カイとユーサクだ。
「お、久しぶりだな」とシューメイ。
「お久しぶりです。前回大会以来ですかね? あ、今日はチームS・S・Aでお出ましですか? そちらの昔のシノブさんのアバターT-0814の方が新入りさん?」とちょっと嫌味っぽくカイ。
この二人もあのPV観たんだろうな。
「ア、アズサです〜。よろしく〜」とちょっとビビりながらアズサちゃん。
「あ〜それでチームS・S・Aね。よろしく」とカイ。
「よろしくね〜。それよりシノブさんって、本当に女の人だったんですね!」とユーサクがいきなり言い出す。
「昨日の昼間、駅前でタバコ吸ってたでしょ?」と聞かれ、思わず頷いてしまう――あちゃ〜あの男がユーサクだったんだ〜。
「ほら〜言った通りでしょ? カイはオンラインゲームで『女性アバターの99パーセントは男』って言ってたけどさ〜」とユーサクが自慢げに話す。
は~い、10日ほど前までわたしも男でしたが何か? と思ったけど、「ちょ、ちょっと! ゲーム内でリアルのこと話さないでよね! このアバターはカスタムメイドで自分そっくりに造ってもらってるの! 子供っぽく見えるけど成人してるんだからタバコだって吸うわよ!」半分はウソだけどな〜。
「――それに、アズサちゃんも歴とした女の子ですっ!」と言い返す。
「さすが専属プロゲーマーは違いますねぇ〜」とカイが言う。こいつ性格悪いぞ。
「ではアズサさん、改めましてチームK・Yのカイ、こっちがユーサク。3ヶ月後、楽しみにしてますからね。せいぜいチームS・Sおっと、チームS・S・Aの名を汚さないでくださいね」と言い放ち「ユーサク行くぞ!」と立ち去る。
「うわぁ〜前のこと根に持ってるのか?」
「な、なに! あの人? わたしあーいった人、大っ嫌い!」珍しくというか当然アズサちゃんが怒る。
まぁ最近上達しつつあるけど、まだまだ初心者だからヤツらが言うのも、もっともだ。でも言い方がな〜。
「わたし、PvP上手くなってあの人を絶対オーバーキルする!」
「覚えたての言葉使ってると思うんだけど、それマナー違反でHP減らされるペナルティ食らうから〜」
「えっ? そうなんですか~?」
「ここはPvP職人のオレが……って言いたいとこだけど、アズサちゃんスナイパーじゃないからそこんとこはシューメイから伝授してもらうしかないな〜」
「ああそうするか。あとは『ガードヒール』で自分を防御して被弾を防ぐのも得策だろうな」
「あ〜それいいかもな〜」
「被弾……痛いですか?」
「うん、普段痛覚は無効になってるけど、なぜか大会時は痛覚は100分の一に設定されてる。けど、それでもかなり痛いよぉ〜」
「ひぃ〜!」
「あははは」
「じゃ、シノブはいつもの遠距離射撃、アズサは今日から接近戦でのPvP特訓だな」
「了解〜」
「は〜い、シューメイ隊長!」
「あの〜アズサちゃん、一応わたしがチームリーダーなんですけどぉ〜」
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