第91話

近江を通って越前に入った僕率いる本軍2万3千強と、若狭国軍、並びに近江国軍、5千と美濃から、美濃国軍2千が越前に入った。朝倉家は3方面作戦に少し苦戦しているようだった。しかし、ここからが本題だ。僕は若狭から海軍を動かして、敦賀湾を封鎖した。さらに上陸作戦を実行させた。今川家の海軍は海兵隊としての側面が強いから、上陸作戦はかなり得意だ。朝倉家は目を他の方向に行っている間に海を占領されて一乗谷は危機に瀕していた。慌てて迎撃の兵を出したようだが、無事に撃ち敗れたようだ。

「若殿、総攻撃を。」

僕は今、朝倉家当主義景自らが率いる本軍と向かい合っている。どちらも動かさず、膠着状態だ。痺れを切らし始めているのだろう。

「少し待て。挑発する。銃刃軍のうち一班十人を二つ動かせ。密かに前進させよ。今日の夜中だ。そして銃撃を朝倉軍に打ち込め。今は500mの間だ。届かない。後200mは少なくとも進めろ。」

「はっ」

「後は敵が突進してきても銃を撃てる準備をしておけ。」

「はっ」

朝倉がどう反応するかが楽しみだ。


その日の夜、作戦が無事に実行された。勘助は今、他の部隊の指揮をしている為、いないのが心細い。彼が来るまでは大きな行動を起こす気は僕はなかった。しかし不満を解消させる必要もあるのだ。仕方がない。しかし、朝倉兵二百人ほどを殺せたのはでかい。敵も1万五千。そこまで兵数に差はない。そう来るのやら。


「若殿、申し上げます。朝倉勢、動きました。突進して参ります。」

「なっ!このような挑発で動くとは。動きが早い。無能か?まあ良い。銃を撃てばよい、最新型を優先して打たせよ。他のは今まで通りに交換して三人一組だ。」

「はっ」

後はどれだけ銃で耐えられるかだな。後、H55も20個ここに配備している。

「工藤昌豊、」

「はっ、」

「いずれ砲兵部隊の規模は拡大する。その折には砲兵の指揮権を授けよう。」

「ありがたき幸せ。」

「まずは仕事だ。大砲を敵本陣に打ち込め。20kmも離れていない。可能なはずだ。」

「はっ」

これで敵軍は崩れるはずだ。大砲の威力はすごい。うまく朝倉義景を撃てればいいが。それにしても僕の周りの家臣結構出世している気がする。まあ僕はそうしているんだけれど。しかし少し寂しいな。


丘の上に本陣はあって、朝倉軍との戦いが見れる。そこへ轟音の後に、クレーターが出来始めていた。砲撃が始まったか。敵の本陣から少しずれているようだが、敵は怖いだろう。しかし徐々に本陣に近づいている。5発目で、本陣に当たったようだ。人の死骸がここでも望遠鏡という南のものを使えば見える。すごい兵器だが、ある意味残酷だな。まあまずはこの戦場に集中するか。本陣が無惨な形になって、当主は生きているのか、どうなのだろうかなあ。そして朝倉はどう動く。気になるものだ。









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