第87話

僕は、離れに戻ると、江戸に向かう準備をさせると同時に、自分が共に縄張りを行わせたい者を指名した。有名では無いが、僕が見つけた優秀な地侍の息子がいるのだ。今川家の他の城も設計していて、本当にすごい。彼をつれて、立派な城を作る。早く完成させたいものだ。何が起きるかは常にわからないのだから。


父上から許可を貰った3日後、僕は家臣達を引き連れて、江戸に向かった。江戸までも街道は整備されていて、適所適所に宿場町があるから、休憩できていい。


そして、江戸に着いたら、直ぐに、戸田勘九郎をつれて、候補地を見に来ていた。その結果海にも近いが、堀も作りやすそうな、丁度いい立地の場所を見つけた。江戸には更地が多いため、城が作りやすい環境で良かった。そして、そのまま寺に泊まった。寺で僕と勘九郎は、城の設計図について話していた。縄張りを早く開始したいのだ。その為には、設計図を作る必要がある。勘九郎との何日間かにわたる話し合いの結果、本丸は、今よりもでかく、現在の今川屋敷3分の2の広さに決まった。しかし、それだけではなく、3階建になるので、実際の敷地はかなり大きくなる。この時代に高い建物を作るのは困難だから、本丸御殿が3階建と言うのはかなりすごい。それに大奥と言われる、現在の奥にあたる場所が作られた。しかしその警備は厳しくなって、江戸城の大奥と同じようなルールが定められた。後は、中奥と言われる、父上の居室のようなのがあるエリアと、表が作られた。表は豪華になって、控室とかも大きくなったし、謁見する場所の数が増えた。謁見が許されている家臣団全部を集められる場所もあるほどだ。後は、使用人の住居の建設予定もされた。更に、本丸の周りには、食べられる木を沢山植える。そしたら、籠城戦がしやすい。後は井戸を地下深くに掘って、水を止めづらくする必要がある。井戸水というよりは、湧き水ではなく、水の整備場を作ってそこから水を運ばせることを考えている。湧水を引いてくるのもいいが、大変なはずだ。だから整備場を作成する。


そして、天守の設計も行われている。天守は本丸御殿の3分の1いかだが、階が高い。15階建のものにする予定だ。ぼくが前いた世界ではそこまですごく無いが、この時代ではすごく高い。しかし、今川家の技術力なら可能だ。また、天守は遠くから見れて、狙われやすいかもしれないが、今は心配ないし、僕らは地下室の設計もしていた。何かあったら地下室に逃げ込めるし、密かな通り道も作る予定だ。そしてその周りには水堀と、ただの堀がある。更に、下には石垣もある。石垣の中に、密かな階段と、その下に地下室があるのだ。かなりすごい作りだろう。こんな城は我々も作ったことがない。


そして、堀の外には二の丸御殿がある。二の丸御殿は嫡子の住む場所だ。もちろん厳しい堀が周りに張り巡らされていて、大きさは今川屋敷の三分の一だ。本丸御殿の2分の1だが、同じく3階建の構造だ。そして二の丸御殿の反対側は西の丸だ。本丸御殿の西側にあるため、この名前がついた。ここは、隠居した前当主の居住所の予定で、二の丸と同じ広さだ。今はいないが、使われる時もあるだろう。僕も早く隠居したいし、多分父上もそんな感じだった。しょっちゅう僕に譲ろうとする。まだ若いと辞退しているが、少しずつ割り当てられている仕事も増えて、処理能力も上がっている。それに体も前より丈夫になって、体調を壊すことが減った。まだ継ぐことはないが、そろそろ父上は結婚をさせてくるだろうな。もう僕も17だ。前世の感覚だと早いが、こちらだと普通だ。








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