第86話

僕は父上のところに向かった。城の普請許可を得るためだ。今川家の中では、各国に守護代を置いている。とは言っても全ての家臣が直臣だし、与力だと言うわけではない。ただただ、まとめの城だ。それは必ず今川家の直轄で周りも直轄領だ。そこに、有力諸侯を城代とする。代官みたいな感じだ。だから、そのまとめの城は何個も建設されていて、もう終了していた。後は、シベリアとかだけれど、最近は自衛隊の基地みたいなものが増えていて、代官も城ではなくなっていた。西に行くと城があるが、東はないのだ。全部作っていると財政が傾くからな。しかし、江戸は違う。本拠といずれはするつもりだ。駿府の屋敷は防御力が低い。だから防御力が高いところのほうがいいだろう。後は信州真田をどうにかして引き抜きたいんだがなあ。どうすればいいかな。武田家との関係悪化はしたくないし。はあ、難しいだろう。まあ何か機会があったら引き抜くとしよう。まだ後の世に残る名将は、幼かったり、成人してても滅ぼされていたりと、あまりいないからな。そして僕は父上のところに来た。

「父上、失礼します。彦五郎です。」

「入れ、急に何用だ。其方に軍に関する権力と予算は与えたはずだが。」

「軍に関することではございませぬ。」

「ではなんだ。」

「本拠地の話です。」

「本拠地?駿府が不満か。」

「いえ、駿府はいいところです。しかし、このままでは人口が増え過ぎます。分散するべきでしょう。そこで提案です。江戸に築城をします。今すぐに変えるわけではありませんが、いずれは、今川の本拠とするために。しかし、駿府はもちろん某にも思い入れはありますので、副都とします。そして貿易拠点として栄えさせようと思います。目指すは堺のような街ですね。今川館は残しますし、駿府はこのままです。しかしながら、江戸の周りには広い平野があります。拡大の余地もありますし、城を建てるのも楽かと。」

「其方がそこまで言うなら会いわかった。許可いたそう。予算はどれぐらいだ。」

「とりあえず40万貫で、」

「わかった。其方に任せる。その代わりに立派なものを作れ。今川家の本拠とするのに相応しいものをな。最新技術も使うがいい。出した金には相応しいものが必要だ。」

「はっ」

「うむ。彦五郎、自由にやるが良い。其方の才覚は今川家の中以上に活躍するべき器。自由にさせてやるのも、父の勤めだ。」

「ありがとうございます。」

父上から無事に許可をもらえてよかった。今川家の威光を示す立派な城を作ろう。これぞ本拠だとな。本物よりもすごい城を絶対に完成させる。









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