第67話
「そうか。次は、定例報告だ。まずは、藤枝美濃介、京の様子を報告せよ。」
「はっ」
そして報告が続けられていった。本当に長くてたまらない。会議は1刻ほどだらだらと続けられた。
「これで評定は終わりとする。」
「はっ」
はあ長かった。何度心のなかでため息をついたものか。絶対参加者みんな思っているよ。
義兄上が去ると評定衆の代表が話しかけてきた。
「今川宰相様、」
「貴公は?」
「今期の評定衆代表を務めさせていただいています。池田筑後守です。」
「池田殿、今川参議です。よろしくお願いします」
「とても礼儀正しいお方ですね。私なんて呼び捨てでも良い立場なのに。」
「あはは、それで何用でしょうか。」
「あまり皆に聞かれたくない話なので個室でいいですか。」
「それだったら私の控え室に行きましょう。」
「控え室ですか?控え室は何人もいるはずですが。」
「いえ、義兄上は個室をくださったので。」
「そうだったのですか。」
僕らは坊主の先導されて、控え室に戻った。
「それで何用でしょうか。」
「三好殿についてです。」
「ああ、三好修理大夫ですね。」
「はい」
「彼が貴公に何かしたのですか。」
「池田家は摂津守護です。しかしながら、摂津国衆を勝手に調略して、三好家の家臣にしようとしています。また、幕府の直臣に関しては、領地の境に兵を出すなどして脅すています。その訴えが私の元に来ていまして。困っているんですよ。」
「確かにそれは問題ですね。」
「はい、上様では動くことはできないでしょう。三好は恐らくいずれ、将軍家に刃向かう。その際に邪魔なのは今川宰相様です。今川宰相様の排除にいずれ動くでしょう。そして、今、今川宰相様と戦うと負けるということも理解しているはずです。」
「ほう、それで?」
「それ故、今川宰相様、並びに上様よりその件を追及されたら逃げれぬかと。場合によってはこの件を理由に転封するべきだと思います。」
「しかしだ味方によっては、三好修理大夫を貶めるためだとも取れるが如何なることかな?」
「そう思われる可能性もあるでしょう。それ故に、某の元に来た、訴え状を見せましょう。」
「見せてみよ。」
「はっ、こちらです。」
「うーむ、あっているのかわからぬな。まあ良い。考えておく。しかし注意だけはしておこう。」
「ありがとうございます。今川宰相様、毒殺には気をつけてください。三好が警戒しているのは今川家ですが、特に宰相様をしているようなので。」
「わかった。明日義兄上には会う故、提案しておく。」
「はっ」
結構面倒ごとに巻き込まれている気がする。毛利の件も然り、三好も然り。三好に関しては今川とも表向きは協力体制だが実際は敵対しているし、義兄上も今川家についているからな。警戒しておかなければな。」
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