第66話

遂に会議の時間がやってきた。僕は義兄上の次に身分が高いから最後に行くことになる。坊主が僕を迎えにきた。

「特別幕政参与閣下、今川宰相様の御成です。」

周りの人は一様礼をしてくるが僕が着座したのを確認すると表を上げる。僕は君主ではないのだから当たり前だろう。此処にも3個の高さに分けられていて、僕が中座、他のものが下座、義兄上が上座だ。パッと見たが十人ほどだ。これで全員なのだろう。藤枝も末席に座っていた。

「上様の御成」

僕も含めて全員で平伏した。

「皆の衆表をあげよ。」

此処で最高位の僕が代表して挨拶することになる。

「義兄上に置かれては、ご機嫌麗しゅうございます。また、婚姻のぎ誠におめでとうございます。」

「うむ、会議を始める。彦五郎は久しぶりの参加であったな。挨拶をせよ。」

「はっ、義兄上より、特別幕政参与の役を与えられています。正4位下参議、治部大輔、美濃守、左近衛権中将、今川彦五郎氏真だ。よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

評定衆の代表が答えた。確か持ち回りなはずだ。しかし名前が思い出せないな。会ったことがあるっけ。

「それでだ、まずは畿内の報告より始める。定時報告以外で報告事項があるものから言え」

誰も答える人はいなかった。

「彦五郎、何かあるか?諸国のことで良い。」

「はっ、我が父、今川治部卿が一向宗によって奪われていた3国、能登、加賀、越中を平定いたしました。先の上洛の折に、上様に一向宗の力を削ぐ事を命じられた故。また、守護に任ぜられたものとしての使命ですので。」

「よくやったな。今川治部卿も京に来る予定だったはずだな。あっているか。」

「はっ、京に来る前に危険分子を排除しようとのことです。今日到着の予定で、義兄上には明日、会いに来る予定です。」

「今川治部卿には後で感状を与えよう。他にはあるか。」

「恐れながら私から。」

「なんだ細川藤孝」

「はっ、上様より婚姻の差配を任されておりまして、上様の名で御内書を送りましたが、奥州探題の大崎をはじめ、伊達、南部、津軽、蘆名が軒並み上洛して参りませぬ。それは大変由々しき問題かと。」

「確かにな。しかしまだついていないだけというのもあり得るのでは。」

「それならば某から。」

「なんだ、彦五郎?」

「陸上で参る場合は必ずや我が領内を通りますが、我らに断りは愚か、陸奥国から一向がきたという報告を受け取ったことはございませぬ。また現在、駿府などの我が領土と接している海、我らは大変穏やかなため、太平洋と呼んでいますが、そこには我等の密輸船などの監視網がございます。それをすり抜けるのは大変困難にて、海賊が居らぬほどです。婚儀が2日後に迫っている今、すでに我が領内に入っていなければ、間に合うことはないはず。すなわち、義兄上に挨拶に参る気がないのでしょう。遠いというには仕方がないと思いますが、使者さえ遣さぬには謀反かと。もしくは、何者かが、邪魔をしている可能性があります。大崎家は義兄上に対しての忠誠心もあついと聞いたことがありますが、伊達は不満を持っていると。それゆえに、大崎に妨害行為をして、これ無くしているなどが考えられます。あくまでも予想ですが。」

「そうか。彦五郎、余は婚姻が終わったのちに、来てなかったものに対して御内書を送る。」

「はっ」

「其方も添え状を書き、返事次第では攻めよ。」

「はっ」

「今川の名があった方が相手も恐れるであろう。」

「はっ」

「謀反疑惑については以上だ。他に報告があるか。」

少し誰も喋らない時間が続いた。そして、評定集の代表が言った。

「上様、恐らくないかと。」

はあそれにしてもこの会議結構疲れるな。すごく堅苦しい。まだ続くのか。よくみんなは我慢できるな。僕はもう根をあげそうだ。



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作者としては、最近の連続投稿はなろうに追いつくぐらいまでにするためです。なので、なるべく気づく限りは毎日更新にします!

ただなろうと同じぐらいになったら、1週間に一回投稿に減らします。カクヨムとなろうの差は大体1話遅れぐらいにしようと思っています。

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