第54話

そして、時がたって1554年になった。僕は16歳だ。父上は、新年の宴が終わった後、出陣した。加賀、能登、越中を平定するためだ。一向宗を倒す。それにより、今川家は上杉と朝倉と完全に挟まれることになるがおそらく上杉は動かない。加賀などの一向一揆の鎮圧はそもそもが義兄上の要請だ。朝倉はどうするかわからないが、今川との戦いは避けるだろう。だから一向一揆は援軍を望むことが困難だ。陸路は無理で、海路も、若狭より出撃した今川海軍により封鎖されている。去年僕が設計した船はすでに完成し始めていて、若狭に駐在している海軍を中心に配備され始めていた。また海軍の人数も拡大して、新たに3万人ほど訓練中だ。これで合計が4万人になった。まあ自衛隊と同じぐらいだな。実際にはピッタリ4万人じゃないけれどそれはまあどうでも良いことだ。今回の実戦で活躍したら、更に発注する予定だ。今も模擬訓練などをやっている。武蔵国にある陸軍の大規模訓練場の隣に、海軍の大規模訓練場も作った。ここで、常に訓練が行われている。いずれは空軍の訓練場も作る予定だ。今川海軍は事実上の海兵隊だ。海上でも戦えるが、上陸作戦の訓練が1番厳しくなっているし、浮き輪などないため、海水を引いて擬似プールで常に泳ぐ練習をしている。装備を着ながら泳ぐのは大変だろう。しかし水軍には、甲冑は着せず、制服を着させている。今、僕は現代の軍の戦闘服に使われている素材を作ろうと頑張って実験させていて、それが完成し次第、そちらの軍服を着てもら予定だ。海軍が1番現代の兵に近くなりそうな予感がする。今は、剣を持っているが、いずれは全員に銃を配りたいのと、濡れても大丈夫な銃を作成したい。防弾チョッキはすでに用意できているのだから。


そして、駿府にいる僕に急報が入ってきた。

「若殿、お味方、海戦にて大勝利とのことです!」

「そうか。喜ばしいことだ。指揮官を褒めて使わそう。」

「はっ、」

「感状を書く。」

僕はその海軍の指揮官に向けて感状を書いたと同時に、安宅船を更に発注した。有効性が示されたのだから発注しない理由はない。父上も軍隊に関しては僕の自由にすることを許されていて、それ用の予算も割り当てられているし。しかし無事に大砲が設置できて本当に良かった。研究班たちは、大砲の飛距離は5kmとだいぶ短くなったが、無反動砲が完成したのだ。そして、陸上タイプとは違い、ずっと置く用のやつを船に取り付けて、固定しておいた。海上には無反動砲しか使えないからな。そろそろ僕も京に向かって出発する時期だ。ペルシュロン種の馬を購入できると良いが。堺で西洋人に会って交渉しないとな。100頭ぐらい雌雄、牡牝それぞれ輸入したいところだ。それを繁殖させて増やすことによって、大砲を引く馬を増やすつもりだ。








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