第53話

「若殿、太守様がお呼びです。」

僕はいろいろ軍事関係特に海軍の整備のためのことをやっていたら父上に呼ばれた。海軍も早急に増強する必要があるだろう。しかし父上がお呼びとは一体なんのためだろうか。

「父上、彦五郎です。」

「彦五郎、入れ」

「はっ」

父上は難しそうな顔で待っていた。」

「いかがされましたか?」

「上様が結婚なさる。」

「義兄上が?それはめでたいことではないですか。お相手は?」

「関白殿下の妹君だ。」

「何を悩んでおいでですか?」

「それは嬉しいことだ。我々にとってもめでたいことだ。」

「義兄上に妹でも嫁がせようとしていたのですか?」

「いや、そう言うわけではないのだが、宴に参加して欲しいと頼まれてな。」

「某が再び京に行きましょう。やりたい事がありますし。」

「いや、そうだったら良いのだが、上様は余に上洛を求めてきた。今川治部卿にも会いたいと。彦五郎を連れて、2人で上洛して欲しいと。」

「ほう、義兄上が?それがなんの問題なんですか?小田原攻めの時もそうだったではないですか。」

「そうなのだがな、京は危険だ。京ではいつ戦争が起きるかわからないし、大軍を連れて行きずらい。要は親子揃っていくには危険だ。上様にも何か考えがあるのかもしれんが、」

「しかし帝に公卿になったことの礼なども行った方が良いのでは。」

「しかしな、一向宗禁止令を出した結果小規模な反乱が起きた。直ぐに、鎮圧を各国の部隊がして、寺の破壊も完了した。領内の一向宗は心配ない。しかし、飛騨の周辺がきな臭い。加賀や能登で一向宗が集まっているらしいし、今川との領境にちょっかいを出したりしておる。農業の時期が終わった今、いつ攻撃が来るかわからない。」

「でしたら提案です。そこを父上自ら叩きに行き、一向一揆を3カ国から排除します。そしたら20カ国の大名に成長します。更に時間がないからと称してそのまま京に来ます。義兄上は一向一揆の討伐を望まれていたので、怒ることはないかと。また、それを口実にかなりの大軍勢を連れられます。そもそも20カ国を治める家だったらかなりの兵を持ってもおかしくないでしょう。後3カ国で二十にまで行きますし、やりましょう。」

「そうだな。上様にはそう返事しておく。彦五郎はどうするのだ?」

「某は堺に行き、南方の人々とあって少し欲しいものの交渉をしてから京に入ります。」

「そうか。よろしく頼んだぞ。我々は上様の婚儀に参加し、帝に感謝の意を伝えたら直ぐに戻る。」

「はっ」

しかし義兄上が結婚するのか。意外に早かったな。もう12月だけれども結婚は新年直ぐ、年が明けてから5週間後にやるそうだ。諸国の大名が国本で新年を祝えるように配慮しているのであろう。それに少し時間があるが、冬だと、雪の多い越後とかは動きづらいはずだが、まあ雪が多くなければ行けるらしいしな。早く加賀や越中をこちらが落としたら上杉も行きやすいだろう。








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