第52話

駿府に戻った僕は、海軍の改革に取り組んでいた。大砲の製造は鍛冶場に行った時に頼んできたが、今度は造船をする必要がある。そこで、僕は造船師たちを雇って僕が設計した船を建てさせることにした。この時代の海戦は主に敵の船に乗り移ろうとする。僕は本音としては空母を作りたかったが、飛行機の実戦化はまだ出来ていないのもあり、船に陸上以外では乗りずらい構造と、船員たちが過ごす場所を甲板の下に作成した。この時代だとのちのことになるが、李 舜臣が朝鮮の役で日本に対抗するために作った船と似させた。甲板は平らになっているが、したからの一部を扉みたいに出せて剣で人をさせる。足が動かなくなると大変だろう。そして空母への転向もしやすいだろうし。それに、基本的に木製だが周りは鉄で覆うことによって燃えづらくした。信長が九鬼水軍にやらせたことと同じ論理だ。更には大砲を設置する場所も用意した。大砲はまだ完成していないが、いずれそれを作成するつもりだ。



あとは潜水艦を作ってみたいのだが、それは今の技術だと困難だろう。酸素をどうやって摂るのかとか、連絡方法がないと言う問題がある。無線機をどうにかして作れないものか。まあそもそも携帯がないんだけれどな。はあ。テクノロジーがない世界って本当に大変だ。僕は絶対に発展させて、今川軍を最強にする必要がある。そにためには無線機を作るべきだろうが、どうすれば良いんだ。わからない。こればかりは僕も知識はない。電波とかってどうやるんだ。誰か役に立つ転生者いないのか。僕の周りには全く転生者なんていないしな。


しかし造船師との会議は意外に楽しい。補給船とかも含めて、九鬼水軍6000人と今川水軍4000人、合わせて1万ほども船作りの必要があるから結構大変だ。父上からは潤沢な資金で3ヶ月ほど経った年末には作る船が定まってきた。更に軍港の整備も進める予定だ。安宅船の入港は現在だと困難だから、駿府を本拠として、志摩国、伊勢国、尾張国、相模国、武蔵国、安房国、下総国、若狭国に軍港の形成を始めている。安宅船が入るほどの大きい港を作って、できれば南方国とも直接貿易するつもりだ。まあキリスト教は危険だから、布教は認めないけれど。キリスト教を認めたら終わる。南方の人々、あるいは西洋の人は日本の植民地化、もしくは日本人を奴隷とすることを狙っているかもしれない。日本人は優秀で勤勉だ。奴隷としたら大変優秀だろう。確か欧米にはすごい優秀な馬がいたはずだ。それをどうにか輸入して、大砲を引かせたい。日本の馬は小さいから良くないだろう。確かフランスで生産されているペルシュロン種は頑強で大砲を弾くのに良いらしい。どうにかしてゲットできないものかな。






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