第31話
僕は父上に紹介したいものがあると言われ、父上に呼ばれていた。一体誰だ。予想がつかない。
「父上、彦五郎参りました。」
「入れ、」
中に入るとまだ幼いものがいた。僕より3つほど年下だろう。
「紹介しよう。」
「松平竹千代と申します。」
「三河松平の当主だ。」
「そうでしたか。こちらこそよろしく。知っていると思うが今川彦五郎氏真だ。官職から取られ、今川左近衛権中将と呼ばれている。まあ他にも官職があるのでそちらでも呼んでもいいが。家中のものには若殿と呼ばれている。」
「若殿の名声は聞いています。」
「竹千代は将来有望な若者だ。それでだ、其方の小姓に任命しようと思っておる。」
「分かりました。しかし某の元で学べることはそこまで多くないと思いますが。」
「未来の側近候補としてだ。いずれは一門衆のものを嫁がせることも考えているほど将来有望なものだ。其方も自身で優秀な臣下を見つけ、雇っているようだが、それだけではなく、譜代や、国衆の側近もあった方が良いだろう。それで考えたら、国衆はあまり居らぬであろう。譜代の家臣ともあまりすごく親しいわけではないようだが。まあいずれ、近習として従わせるなどするから覚悟しておけ。」
「はっ。」
「若殿、よろしくお願いいたします。」
「竹千代、頼んだぞ」
「はっ」
「父上、用事はこれだけでは無いのでしょう。」
「そうだな。よくわかったな、彦五郎」
「血が繋がっていますから。それで話とは?」
「これからが本題だ。上様から任せられた土地を平定する必要がある。」
「そうですね。」
「この度は余自ら出陣致す。彦五郎、其方は留守居をせよ。其方は確かに凄いが、偶には余自ら行くべきであろう。1番の目的は武蔵の開拓の様子を見ることだ。其方は軍を見ているだろう?余が裁判などの内政を主に行っている。それゆえに余が自ら確認するべきだと思ってな。」
「はっ」
「虎騎刃軍、獅子刃軍はどれほどだ。あそこには新兵がおるであろう?」
「そうですね。報告によるともう少し待つ方が良いですが、まあ統制、出陣などは出来ます。後、赤備えを増やし、一万にしたいのと龍刃軍を編成したいです。龍刃軍は5000として、現在の赤備えを移します。そして赤備えには虎騎刃軍、獅子刃軍よりの選抜メンバーをとの考えです。」
「わかった。許可致すが戦役が終わってからだ。」
「ありがたきお言葉。そして現在の赤備えを率いる由比正純はそのままに、龍刃軍の将に某の家臣の工藤昌祐を任じたいです。彼は様々な合戦で功績を立てていますしどうでしょうか。勇猛果敢で龍刃軍のトップに相応しいかと。」
「許可をする。」
「ありがたきお言葉。」
「では、この話は終わりだ。竹千代と仲良くなれ。信頼できる家臣は多いほど良いからな。」
「はっ」
父上との話は終わったが、竹千代はどれだけ使えるのか気になるものだ。まあ父上に褒められるのだから大したものなのだろう。
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