第14話
小田原城をとった僕らは瀬名伊代守に一旦任せて、足柄平野に向かっていた。足柄平野が山に囲まれていてかなり遠い。しかし小田原からなら行きやすい。1日ぐらいで着くであろう。しかし着くのが夜だと着陣がめんどくさいし、戦いが始まっていないといいが。
「若殿、北条の旗が見えました。」
「うむ。最悪だな。すでに戦いが始まっている。急ぎ加勢せよ。」
「はっ。」
「皆の者、この戦いに勝てば我らの勝利だ。敵は北条、狙うは氏康の首。行け」
戦況は膠着している様子だったが今川軍に対して加勢が来たため、我らが有利になった。工藤兄弟、行くぞ。」
「「ははっ」」
僕も前線に出て戦う。そうすることで我が軍の士気は上がる。
「やー」
僕は槍で敵を倒して行った。人を殺す感覚は嫌いだが自分の命を守るためだ。仕方がない。それにこちらの奮戦を見た父上が兵を差し向けている。我らは勝てるだろう。
「北条氏康を狙え」
僕等は馬でかけて行って、氏康の本陣に到達した。
「我こそは今川彦五郎氏真、北条相摸守に戦いを挑む。一騎打ちを要求する。」
「今川美濃守、受けてたとう。皆の者邪魔いたすな。」
僕は北条氏康との戦いを開始した。氏康は強い。だが刀しか持っていないのに対して、僕は槍で戦っていたから遠距離から攻撃しやすい。
「やあ。」
「うっ」
「覚悟、」
僕は刀を抜いてとどめを刺そうとした。
「今川美濃守天晴れであった。其方はいなかったら我らは滅ぼされなかっただろうな。」
「北条相摸守、覚悟」
僕は北条氏康を殺した。そしたら周りで見守っていた北条の家臣が攻撃してきたが僕やその護衛である工藤兄弟と協力して倒して、首を持って本陣へ帰った。そしたらじいが怒った様子で立っていた。じいは確か後詰のはずだったのだが。
「じい如何した?」
「彦五郎様、心配いたしました。若殿になられた自覚を持ちなされ。小田原城や美濃を取る手段も見事でしたがこのように前に出て戦うのはやめなさいませ。じいは心配いたしました。じいは彦五郎様が無事、大将として前線に出るのを止めるまで若殿とは呼びませぬ。」
「そうか。じい、忠告ありがとう。父上の元へ向かう。」
「行ってらっしゃいませ。」
総大将である北条氏康の死により北条軍は総崩れとなった。そして今川の勝利は確定的なものになっていた。
父上の陣に向かいながら死体を見るには辛い気分だがなれる必要があるものだ。
「父上、彦五郎、只今参りました。」
「彦五郎ここに座れ。」
「はっ、」
「手柄だったな。北条を崩すとは。ここにいるとは小田原を落としたのか?早いな。」
「瀬名伊代守が現在守っています。某の提案した策のもと瀬名伊代守が取ったので。」
「褒めて褒美を遣わさなければな。」
「はい。後父上、北条相摸守の首です。」
「氏康のか?」
「はい、某が一騎打ちにて討ち取りました。」
「よくやったと言いたいところだが大将は後ろでどっしりと構えておれ。前に出るのは本当に危機的な状況で士気を上げる必要がある時だ。彦五郎は嫡男だから余計にな。定を失って、彦五郎まで失うわけにはいかぬ。」
「申し訳ございません。」
「反省しているのはいい。今度からやるな。今回は無事だったからいいものの。」
「はっ」
「皆の者、小田原に行くぞ」
「おおー」
北条を打ち破った、今川勢は休憩を挟んで足柄平野で一泊した後、小田原城に入城した。
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