第15話

父上も含めて今川軍は小田原城に入場と同時に、相模、武蔵、上野の平定戦に移り始めた。武田家とは信濃は武田、上野は今川との話が付いているから戦うのは上杉だけだ。この戦いが終わったら再び上洛するのもいいな。今は美濃まで取っているし、浅井は六角と戦っている。それさえなければあとは近江だけとれば陸路で行けるのだがな。まあ難しいだろう。六角とは同盟を組んでもいいが。越前の朝倉は強い。朝倉宗滴は名将と名高い。彼がいなければあれだが。それに六角も弾正小弼が病に伏せているという噂だしな。あまり結ぶ意味がない。そうなると佐竹とかだがあそこは厳しいだろう。どうするか。悩みどころだな。色々な勢力が混ざり合っている。まあ8国を納める大名になったためかなり有力な諸侯の1人とまで上がった。これなら今川家が滅びる可能性が格段に減ったはずだ。


「太守様、武蔵、相模、上野の平定完了いたしました。」

「では論功行賞をおこなう。」

「ははっ」


論功行賞の結果様々な配置変えが行われた。そして北条家の一族は、女子も男もはとりあえず領地没収の上、駿府にて僧門に入る事になった。そしたら軍事力をもたせずに済むしいずれ滅びるが手を汚す必要はない。まあ事実上の幽閉だ。




こうして今川家はどんどん強くなって行った。また、僕等は無事に駿府に帰れた。



今は主となる脅威がいないから内政改革をしようと考えている。父上に提案して許可を得た農民の次男三男などの雇用だ。それで常備軍を形成する。北条との戦いが終わり、税を4公6民に合わせて、鉄砲を導入して、常備軍を作成するなどの改革を進めて、半年ほど経った。更に美濃の楽市楽座もうまく行っているようで駿府をはじめとする各地の場所でも行われるようになったし、関所も廃止した。そして道の整備なども進めていき、駿府は物流などが集まる大都市に成長して行った。



新たに組織した常備軍は赤い甲冑を来させることにした。そして赤備えと呼んだ。それは5000ほどだったが訓練も苦しく、精鋭を集めていた。赤備え以外は虎騎刃軍と名付けて1万五千ほど用意した。しかしまだまだ常備軍の数を増やすつもりだ。各地の家臣団も常備軍の組織をし始めているようで今川家は全部で6万ほどの兵力を持ち、8カ国を治める大大名に成長していた。3カ国でもすごいのに8カ国は東国では1番で西国でも5、6カ国ぐらいだったから日本一とも言えるほどだった。そして鉄砲の増産も進んで、今や今川家の保有数は1000丁に達していた。こちらも銃の戦闘部隊に渡していた。そして大砲の開発を進めるなど様々なことが起きていてまさに富国強兵を行っている状態だ。そして風魔党は僕の家臣でありながら、父上の承認の元、領地が少し与えられる上に、100貫を与えることになった。ただし、僕は強力な忍びを味方につけられて嬉しかった。そうして駿府にて順風満帆に生活を行っていたある日、僕は父上に呼び出された。

「彦五郎、其方ももう14だ。もう少しで15になる。余としては早く家督を譲りたい。ただし、その前に結婚して欲しい。今の所良い候補が居らぬがいずれ、何処かの家の者と結婚させる。そこは覚えておけ。その時はいくら気に入らなかったとしても離婚は許可できぬ。政略的な目的が壊される事はあいならぬゆえな。」

「はっ」

「本題は公方様からの書状だ。今川美濃守に上洛をせよと。」

「父上、何故かわかりますか?」

「わからぬが、三好と細川の戦いが激化している。細川が丹波にて三好を撃破したそうだ。公方様は三好派と細川派に別れている今厳しい状況だから新たな味方が欲しいのであろう。そして六角弾正弼がなくなったそうだ。」

「なっ。六角弾正弼が?六角はかなりやばいですね。」

「ああ、彦五郎、上洛せよ。今回は陸路で1000を率いるが良い。上様の命だ。六角は仮にも上様に忠誠を誓う身。今川の軍勢の通り抜けを許可いたすであろう。余から六角に対しては使者を送っておく。出発は1月後だ。」

「新年はこちらで過ごすという事で良いのですよね。」

「そうだな。補佐として鵜殿長持をつける。あと束帯も用意しよう。」

「ありがとうございます。」

「それまでに改革を励むが良い。其方の改革はかなり良いようではないか。流石だな。あと1000は赤備えより出すか。」

「そうですね。赤備えは精鋭ですから。」

「うむ。では準備しとけ。」

「父上、京へ行く前に母上に挨拶しようと思います。」

「そうだな。やるが良い。」

「ありがとうございます。」

僕は再び京に行く事にあいなったのだ。公方様はどうされたいのかがよくわからぬ。





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