第13話

僕は小田原城に向けて進んでいた。

「これが小田原か。」

「若殿、我々で包囲殲滅するのは困難でしょう。」

「井伊直親、」

「はっ」

「確かに包囲は難しい。でも考えてみろ。北条と今川の主力は別の場所だ。要はここの防御は弱い筈だ。それに内部に内応者を入れている。」

「ということは門を開けさせますか。」

「うむ。瀬名氏俊、先鋒を務めよ。其方のことは信頼している。」

「はっ」

「決行は今日の夜だ。早めに小田原を落とし、父上は救援する。」

「ははっ」


その夜、風魔党が僕の前に跪いていた。

「無事接触できたか?」

「はっ」

「確か風魔党のトップは風魔小太郎と申したのであっていたか?」

「はい」

「父上に相談し、諱を授けても良いな。まあ良い。小次郎、作戦はどうだ。」

「無事若殿の命令を伝えました。」

「そうか。よくやった。これをやる。」

僕は家臣に命じて用意させていた金子を褒美としてやった。

「今回の褒美だ。」

「ありがとうございます。」

「うむ。行こうか。」

「はっ」

「小太郎等は我々の戦いの様子を見ているが良い。」

「はっ」

「若殿、攻める準備が完了しました。」

「瀬名伊予守、用意しておけ。やるぞ。」

「はっ」

「若殿、城門付近で戦闘の模様。如何いたしますか?」

「我々が動くことはできぬ。ただし突入の準備をしろ。」

「何故ですか?見捨てるのですか?」

「関口伊豆守、味方は救援を得るために何がなんでも開ける筈だ。それだからすぐに突入したほうが良い。」

「わかりました。」

「若殿、城門が開きました。瀬名勢が攻め入っています。」

「よし、小田原城内はどうだ?そこまで辿り着けたか?わかりませぬ。」

「そうかさがれ。」

「はっ。」

「狼煙の準備を。」

「用意完了いたしました。」

「うむ」

「申し上げます瀬名勢城壁に到達」

「狼煙をあげよ」

「はっ」

「勘助、次はどうする?」

「何もしなくて良いかと。遊女たちを雇って戦勝の前祝いをさせているので酔っ払っている筈です。」

「そうか。ではここで待とう。」

「はっ」




それから少し経って朝方のことだった。

「若殿、無事に小田原城を制圧いたしました。」

「そうか。瀬名伊代守、よくやった。」

「また、城将北条新九郎を捕らえました。また、北条氏康の家族と思われるものも捉えています。」

「そうか。降伏した兵は如何した?」

「抵抗してくるものは殺し、降伏したものは捕虜にしました。」

「よくやった。瀬名伊代守、小田原城を任せる。夜の行動で疲れていただろう。よく休息せよ。我等は父上の元に行く。」

「ははっ。」


僕率いる一万は僕と勘助で考えた作戦と瀬名伊代守の働きで小田原城を落とすことができた。そして決戦の地へと向かっている。






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