第7話
京に行く準備ができたため、僕は父上よりつけられた軍勢100と直臣を連れて京に向かった。京都に着くとまずは、公方様の御所に伺いを出すと同時に朝廷に1000貫献金した。公方様は翌日に会うとのことだった。なんかことの運びがとても早い気がする。いくら公方様が苦しく、権威が落ちているといえどおかしくないか。
次の日、僕は直垂を着て御所に向かった。ついたらすぐに細川殿に迎えられて上様の元に行った。謁見の間などがなく居室のような場所だった。
「上様、今川彦五郎殿をお連れしました。」
「入れ。」
僕は平伏した。いくら勢力が落ちて力がないといえど、公方様は今川家の本家だし、一応武家の棟梁だ。
「今川彦五郎、表をあげよ。」
「はっ」
上様はまだお若いようだった。
「上様にいかがれましてはご機嫌麗しゅうございます。また、先の上様の亡くなられたことに関して、心より冥福を祈ります。」
「彦五郎、固苦しいことは良い。我が親戚であろう。それに余は15其方は13年齢もそこまで変わらぬ。」
「いえ、それは。」
「まあ良い。余が将軍足利義藤だ。彦五郎、偏諱を与えようと言いたいところだが難しいな。なんか名前が変になってしまう。確か彦五郎とは今川家の嫡男が名乗る名前だ。それに氏は今川家の通字だしな。この度は偏諱を与えるのをやめておこう。これからも頼りにする。頼んだぞ。」
「はっ」
「藤孝、あれを」
「はっこちらに」
「遠江、駿河守護今川義元を三河、尾張の守護にも任じる。本当は本人に直接任じたいところだが、嫡男に渡しておく。これが任命書だ。」
「はっ、ありがたき幸せ。」
「今回はこれぐらいでいいだろう。またいずれ上洛をしたら余にも会いに来てくれ。其方とは仲良くしたい。」
「はっありがたき幸せ」
僕は部屋を退出した。公方様はかなり良いお方だろう。ただしいずれ殺されるんだけれどもなあ。まあなんかあったら公方様に和睦の調停でも頼めるしいいか。いい縁だと思っておこう。あと尾張と三河は実効支配していたが、今川家が守護になれたのはデカかった。これで我等の三河、尾張支配は正式に認められたことになる。
そして、僕が宿所に帰った直後に勅使がやってきた。
「帝の御言葉である。源朝臣氏真、其方を従五位下権左近衛少将、美濃守に任ずる。また、明日、帝の御前に参るように。」
「ははっ」
「以上である」
勅使はすぐに帰って行ったが僕は急に官職に任じられたからびっくりした。
「鵜殿長持、何か知っているか?」
「太守様が今回の上洛にて官職に就けるように動く様にとの命でして、そのように行いましたが、帝に謁見せよとは何故か分かりませぬ。帝に何か意向があるのかと。」
「しかし余は束帯を持っていない。どうすればいい?」
「取り敢えず直垂で会うのが1番かと。」
「わかった。しかし美濃守か。謎だな。我が領国の隣だ。何か帝に意向があるのかも知れぬ。」
「そうですね。若殿、頑張ってください。」
「うむ」
本当に今日はいろいろなことがあり疲れた。明日に向けて頑張る必要がある。
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