第8話

次の日になった。僕は遂に帝にえっけんすることになるのだ。僕は緊張しながら直垂に着替えて御所に向かった。御所に向かったら少し待機させられるとすぐに案内された。僕が平伏していると帝はすぐにいらっしゃられた。

「従五位下源朝臣氏真ご苦労である。表をあげよ。」

「はっ」

帝はなぜか御簾越しではなかった。

「不思議な顔をしておるな。朕が御簾の中にいないことが不思議なのであろう。それはな朕が其方に興味を持ったからだ。そもそも其方らは朕と会う準備をしておらなかっただろう。朕はソナタに会うことを望み、源朝臣義元は其方に官位を与えることを望んだ。それを利用した。其方は英傑の気がある。朕は気になっていた。そして美濃は今かなり混乱しておると聞いた。朕としては日の本が乱れている状況は認められぬ。美濃守、其方に朕としては美濃を安定させてほしい。そういう意向だ。わかったな。これは勅命ではない。朕よりのお願いだ。」

「ははっー美濃守として美濃を平定いたしまする。」

「うむ。」

その後も少し話した。

そうして僕と帝の初めての対面は終わった。本当に緊張した。帝の威厳は本当にすごい。それにしても御所が駿府の館より酷いのは驚いた。しかし早く父上の元に帰る必要があるな。それに京での用事は終わったから後は堺に行くだけだ。

「よし。堺に行くか。」

「はっ」

帝に謁見した次の日、僕は堺に向かった。堺では多くの豪商たちとの会談などでかなり忙しかったが最も重要でかつ有益な収穫は鉄砲を10挺新たに仕入れられたのと弾丸を千発ほど買えたことだ。僕は硝石の作り方を朧げだが覚えているが絶対に使えるものがあったほうがいいし、鉄砲はいずれ重要になる。信秀は確か100挺ほど所有していたが、使い方がよくわかっていなかったようで主に嫡男に預けていたようだ。しかし信長はうつけとの噂通り街を出歩いていたようですぐに捕獲できて、城を取れたのは本当に良かった。尾張をとったことで僕の評価もかなり上がっているようで忙しくありつつ、堺では様々な人脈を築くことができた。伝手はとても重要だし、こういうので戦の勝敗などが決まりかねない。だから僕は頑張って会談に臨んだ。その結果は結構な好感触だった。そして2週間ほどの京都、堺での滞在はとても有益だった。そして僕等は駿府へとの船旅が始まるのだ。駿府への船旅はなんの障害もなく無事に終わって今回のは非常に良かった。それに父上に報告することがたくさんあって父上に会うのが楽しみだ。




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