今川氏真に生まれたので領地を失わないように頑張ります

第6話

「彦五郎、起きたか？」

「はい！父上」

「彦五郎、今回の件はお手柄だった。よく余や太原 雪斎が成し遂げられなかった尾張の平定をしたな。自慢の息子だ。それで少しいうことがある。我が妻が病に倒れた。」

「母上が？なんとそれは」

「見舞いに行ってやれ。」

「行ってまいります。待て余も行こう。」

僕は母上の元に急いで行った。

「母上、彦五郎です。失礼致します。」

「彦五郎まて。」

「父上！ついてきていたのですか？」

「もちろんだ。我が妻の見舞いに行かぬ男がいるか。しかし彦五郎が奥に来るのは久しぶりだったな。」

「はい！最後にはいつきたのか覚えていません。いつも自分の居室とかであっていたので。なんとか迷わずにこれました。」

「母上！彦五郎です。無事に戦から帰って参りました。」

「兄上！全く見舞いに来ないで今更来られるとは」

「貴方は？それに某は尾張を平定していたのです！母上が倒れられているなど知りませんでした。」

「彦五郎の妹だ。彦五郎、妹を忘れたか。危惧していた通りだな。」

「龍王丸、」

「母上！」

「龍王丸、戦はどうだったの？」

「我等が勝ちました。織田家は滅び、尾張国全てが我等の勢力圏です。」

「そう。龍王丸が立派になって嬉しい。」

「母上、某は龍王丸ではなく元服いたしました。今は彦五郎です。」

「そうだったわね。彦五郎お父様をよく支えなさい。」

「はい！」

母上は眠りについたようだ。

「彦五郎、また後でこよう、論功行賞を考えなければな。」

「はい」

僕は父上に連れられて、太原 雪斎が待っている部屋に行った。

「太守様、若殿」

「太原 雪斎頭をあげよ。では話すか。」

「1番大きな功績は若殿でしょう。若殿の尽力がなければここまで早く取れぬかと。後は朝比奈を尾張に転封しましょう。すでに清洲にいますし。」

こうして論功行賞は主に父と太原 雪斎によって決められた。

そして尾張平定が無事に済んでしばらくしたら、将軍家より使者がやってきた。

「細川殿、よく参られた。」

「今川治部大部、尾張を平定したそうだな。」

「はい。」

「上様が、今川殿の助力、いや後ろ盾を得たいそうだ。現在は六角殿と細川殿、三好殿が和睦を結んでいるがいつ覆るか分からぬ。言いたいことはわかるな。今川殿に上洛してほしいのだ。」

「でしたら、某ではなく嫡男の彦五郎を上洛させましょう。それはどうですか。」

「彦五郎殿とは？」

「今川彦五郎氏真と申します。」

「彦五郎が尾張の平定を初陣にて行いました。」

「なんと！彦五郎殿は齢幾つなのですか。」

父上が耳に言ってきた。

「彦五郎が答えなさい」

「現在13歳にございます。」

「ほう。それはまことにすごい。今川殿、上様もこの話を聞いたら彦五郎殿に会うことを望まれるだろう。彦五郎殿を上洛させてくれぬか。」

「然るべき時に準備を整え、上洛させましょう。」

「うむ。では某は帰ろう。上様に早く伝えなければ。」

僕は上洛することになった。

「彦五郎、余が知り合いには連絡しておこう。」

「ありがとうございます。あと堺に行ってみたいのですが。気になる武器がありまして。織田家から撤収したものにあった鉄砲というものなんですが。」

「あれか。あれがどうした？」

「はっ試しに使ってみたところ威力は強力で遠くから攻撃できます。かなり有用かと。それをもう少し用意したく。」

「わかった。買ってくればいい。ついていく家臣は余が選定しておく。」

「ありがとうございます。」

「今回は海路で行け。美濃が荒れている。義龍が負けたそうだな。」

「はい。しかし反対派は強いようで未だ小競り合いがあるとか。そして道三の次男と三男が殺されたとききましたが。」

「美濃は避ける必要がある。」

「わかりました」

京都に行くのが楽しみでたまらない