第5話

岩倉織田家を滅ぼした今川勢は岩倉城付近にて1夜明かした。そしてその次の日は朝から清洲に向かい、進軍していた。そこへ急報が届いた。

「若殿、斯波義統ならびにその家族、そして家臣らが織田信友によって殺された模様。籠城戦の準備を行うために、口減しをしたものかと。」

「そうか。報告ご苦労。人の死を喜ぶには不本意だが斯波家の滅亡は今川にとって都合が良い。なっ勘助」

「そうですね。斯波家は尾張守護、これによって今川が尾張守護につきやすくなるでしょう。」

「若殿、」

「なんだ太原 雪斎?」

「提案したい作戦が。」

「申してみよ。」

「清洲城内には我々の間者が何人かいます。彼らに指示を出し、城門を開けさせては?」

「しかしどう指示いたす?そこが問題だ。彼らが怪しまれては困る。」

「それは問題にはなりません。若殿に提案する前にその者どもに狼煙が上がったらその夜行えとの指示をしております。」

「そうか。良かろう。そうしよう。なるべく早く駿府に帰りたいしな。最後の一戦頑張るとするか。」

そして僕らは清洲城についた。

「皆の者、清洲を包囲せよ。」

僕は着陣してすぐに狼煙を出させた。そしてその夜、城門が開いている様子を見た。

「皆の者、城門は空いた。今すぐに攻めよ。清洲を落とし、織田信友を討ち取れ。」

「をおー」

今川軍は雪崩のように城に入った。清洲城には警戒している兵士がいたものの、結構寝ているようだった。そして今川軍はすぐに攻めるとは思っていないよう様子だった。


急襲を仕掛けた今川軍はすぐに本丸に到達し、織田信友以下その一族は自害や討死した。そして僕は清洲に入場して今川軍はすぐ様平定戦を行った。尾張国を今川家は遂に得たのだ。そして平定戦も終わり、尾張国がある程度安定した7月、遂に僕らは駿府に帰ることになった。僕は清洲城に一時的に朝比奈泰知を置くことにした。


「父上、今川彦五郎氏真以下今川軍1万只今帰還いたしました。」

「彦五郎!よくやった。余の予想以上のことを行ったわ。本当に驚いた。皆の者、今日は疲れているだろうから休息をするが良い。論功行賞は3日後に行うとする。彦五郎行こうか。」

僕は邸の中に入ったが疲れからか頭が痛い。

「彦五郎、顔色が悪い。休息を取れ。」

「はい!父上」

僕は甲冑を脱いで服に着替えるとすぐに寝てしまった。そもそも甲冑はとても重いのだ。


ーーーーーーーーー義元視点

尾張国を平定したとの知らせを聞いた時は本当にびっくりした。美濃での内戦も彦五郎の手によるものだろう。彦五郎は聡明だし予想以上のことをしている。太原 雪斎も褒めていた。まっそこは少し悔しいが彦五郎は今川家をさらにもりたててくれるだろう。私の代では京まではいけるかも知れぬが、それ以降は無理であろう。彦五郎は北条や武田などの強力な大名家を支配下に置いてしまいそうなぐらいだ。そして、彦五郎は現在無位無冠だ。それは格付け的に望ましくない。朝廷に1000貫献金でもして官位をもらおう。それに、嫁のことを考え始めなければな。彦五郎も元服して初陣を済ませたことだし。それにしても本当に良い後継を得た。彦五郎がいれば今川家は安泰だ。しかし彦五郎は幼いときより病弱で文武に励んでいたため兄弟とほとんど会ったことがないのが問題だな。妹たちの名前も覚えているのかが不安な状態だ。弟は僧門に入っているから仕方がないといえどな。今後はそこも気をつけさせるか。何かあった時に敵にもなりえるが、1番信頼できるのが身内でもある。




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