第11話 ホラーゲームなんて聞いてない!

「よーっし!じゃあ黒夢ロボ二号連れてくるね〜」

五分ほどして黒夢ロボは自室であろう部屋から二号を連れてきた。

連れてこられたのはツルッとしたロボットらしい灰色の裸体に黒髪ショートのボーイッシュな感じの女の子で胸は小さめの…

「ちょっと待ってください」

「ん?どしたー?」

「この子が二号ですか?全然黒夢部長とは違うというか真逆の容姿ですけど!?」

「いやぁ…たまには別の見た目の子も作ってみたくなるじゃん?」

「そんな事情知りませんよ…」

「なぁに?それともウチと全くおんなじ姿の子が良かった?」

「べ…べべ別にそんなことはないですよ…?」

「まぁ!この二号ちゃんに恋を教えたらミッション完了!ってこと、よし!起動するね」

胸の起動ボタンが黒夢ロボの手によって押される。

すると、起動ボタンから色が灯るように灰色だった肌が見事にヒトの肌色に染められた。少ししてロボットがゆっくり目を開いた。

「ん…?ここは…?ってなんでウチ裸なん!?」

二号ちゃんの反応はまるで本物の人のようだった。

(てか関西弁を喋る属性までインプットされてるのか…)

そうして、次に二号ちゃんは俺の方を見上げた。

「え、あっ…!?変態っ!」

「ぐほぁ…!」

俺は死んでから初めて渾身の腹パンを食らった。正直言って辛い。


「あらら…まぁ、説明しよっか〜」

そんなところで黒夢ロボは二号ちゃんに状況説明や、これから二号ちゃんはどうすべきかを説明していた。俺は床にダウンしたままその説明を聞いていた。


———「あ…そうなんや…じゃあウチは、この神無さんと実験に参加するっちゅうことやね」二号ちゃんはポンと手を叩いて納得した様子だ。

「そんなこんなで…よろしく…お願いします…」

俺は生まれたての子鹿のような足取りで起き上がった。

「あぁ…さっきは殴ってもうてほんまにごめんな…?」

「大丈夫です…」

黒夢ロボはグッドラックと言わんばかりにサムズアップして自室に戻って行ってしまった。慌てた俺はとりあえず二号ちゃんの隣に座ってみた。

二人の間にちょっと気まずい沈黙が流れる。


「「あの」」


 二人の声が綺麗にハモった。

「2号ちゃんからどうぞ?」

「いえいえ神無さんから」

発言権の奪い合いはあれど押し付け合いは初めてだ。

「良ければですけどゲームしません?」

俺は気づいた。この部屋のコード類は全てゲーム機やコントローラー充電器などのゲーム関連のものだと言うことに。

俺がゲームの話を持ちかけると二号ちゃんの瞳の輝きが三割増量した。

「あ、二号ちゃんの好きなゲームとかある…?」

「『ヴァイオ』やりたいです!」

キラキラした瞳で二号ちゃんは食い気味に答えた。そしてどこからかソフトを持ってきてゲーム機に差し込む。

『ヴァイオ』はホラーアクションゲームの金字塔とも言えるゲーム…

十年前兄にプレイさせられてからと言うもの俺の中では結構なトラウマゲーである。

「なんでこのゲーム好きなの?」

すでに冷や汗びしょびしょになりながら二号ちゃんに聞いてみる。

「人が怖がるところは大好きですし…血がいっぱい出るゲームは基本大好きです!」

いかにも地獄の住人らしい回答で、感心してしまうほどだ。

「でも、実はウチ…ゲームド下手くそで足手纏いになっちゃうと思うので神無さんが一人でやってくれませんか?」

「はぇ…?」

俺は十年越しのトラウマゲームを女の子の隣で再び始めるのだった。

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