第23話 惚れ直して……いない……事もない……
御白様の曲家の門には
誰が迎えに出ているのかと思えば、
曲家の門を
庭では
当然ではあるが、来賓の大半が妖だ。新婦の到着に、一斉に皆の目が僕へと向けられた。見慣れぬ妖達の姿にたじろいでしまうが、何とか堪えて皆の前を通り過ぎる。
河童に天狗、雪女。やけに背の高いのは、噂に聞く
奥座敷に通され、御白様とともに上座に座る。家の中は
オイルランプが照らし出す曲家の様子は、
振袖で着飾ったぼっこちゃんが、僕達の前に
御白様が一番小さな盃を手に取ると、少女が長柄銚子から三回に分けて酒を
今度は僕が次の盃を手にして三口。御白様が三口。僕が三口。
最後に御白様が一番大きな盃を手にして三口。僕が三口。そして再び御白様が三口。
こうして
祝宴の準備の間、色を直すためお雪さん達に付き添われて
立ち上がって土間を見れば、座敷に上がれぬ妖達が御白様の嫁ッコを一目みようと
土間に降りて台所を見れば、何人もの妖が膳の準備に慌ただしく働いていた。朱塗の膳が並び、次々と座敷へ運び込まれていく。宴の準備も大詰めの様だ。
離に入ると綿帽子と白打掛を脱ぎ、
「緊張した?」
お雪さんが悪戯っぽく笑う。
「これしきの事で、緊張などするものか」
「凛ちゃんってさ、そういう素直じゃない所が可愛いよね」
「か、可愛くなど!
「はいはい。たまにはデレてくれたって良いんだからね」
「だから僕は、ツンデレなどでは……」
「しっかし、御白様かっこよかったよねぇ。惚れ直したんじゃないの?」
「馬鹿な。そもそも、惚れてなど……」
悪態を吐きかけて、言葉を止める。
「どうかした?」
「惚れ直していない……事もない」
「いやーん、照れてる! なにこの子、可愛い!」
そう言ってお雪さんが僕に飛びつく。
「や、やめてくれ。着崩れてしまう!」
「大丈夫。お姉さんがちゃんと直して、あ、げ、る」
飾らない人だと思う。
「凛ちゃん、帯を
前言撤回。未だに面食らったままだ。
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