おバカな幼馴染がうっかりオレにプロポーズしてません⁇

猫の集会

確率ってどうなの?

 チュンチュンチュンチュンと朝から鳥の鳴き声が軽快に聞こえる…わけがない‼︎

 

 だって外、土砂降りだよね⁉︎

 

 それにチュンチュンって声がやたらと近い。

 

 …こ、これは…

 

 

 あー、やっぱり。

 

 眠くて重たい瞼をあけるとやっぱりいた。

 

 幼馴染の美波みなみ

 

「もー、また勝手に入ってきてるじゃーん」

 と目を擦りながらいうと美波は、あたりまえのように、

「え?ちゃんとおばちゃんにおじゃましますよぉっていったよ?それにノックしたからね?ねてるユウトがわるいー」

 とオレが悪い扱いされてしまった。

 

 もー…

 寝顔とか見られたら恥ずいじゃーん…。

 

 好きな人に寝顔見られるのって恥ずいよね…

 

 …

 

 

「で、なんのよう?こんな朝早くからさ」

「そりゃあ、ラジオ体操に誘いにきたわけよ!」

「あー、ラジオ体操…って‼︎もうオレたち中学生だからラジオ体操ないじゃん⁉︎それに、夏休みでもないし…」

「ふふ、ね!」

 と笑う美波。

 

 まったく。朝から元気だわ…。

 

「もう目覚めちゃったしゲームでもする?」

「うん!じゃあ、しっぽとりゲーム‼︎」

「いや、部屋でそれは無理じゃね?」

「あー、じゃあこおり鬼‼︎」

「あのさ、捕まったらだれが溶かしに来てくれるわけよ?」

「ねー」

 

 …まったく。

 

 それからオレたちは、おとなしく普通にゲーム機でゲームをした。

 

 毎度オレの一人勝ち〜‼︎

 

「な、なんかごめんねぇ。」

 とニヤニヤ笑うと美波は、勝つまで毎週ゲームやりにきてやるからって言ってほんとに毎週ゲームをやりに来た。

 

 でもさ…、美波ってゲーム強いって弟の海斗が言ってたけどな。

 

 

 そんなある日美波が変なことを言い出した。

 

「ねー、ユウト…幼馴染って結婚する確率低いらしいよ」

 と。

「あー、かもね。幼い頃からずっといるからなんかあれなのかな」

「あれって?」

「一回くらいは好きになるかもだけど飽きる…とか?ずっと一緒にいるから」

 

 …

 

 しばらく間があって⁇と思い美波の方を見てみると…

 

 ⁇

 

 泣いてる⁉︎

 

「え、美波…どうした?」

「飽きちゃうんだ。ならわたし毎週来ない」

 と帰ろうとしていた。

 

「待って⁉︎それってオレたちの話だった⁉︎でも、なんで泣いて…」

 

 …

 

「ち、ちがうし。ただ、ただ…昨日のドラマの悲しいシーン思い出して泣いてるだけだしっ」

 

「それは…なかなか…」

「あ、でね…わたし…引っ越そうと思うの」

「え?親の転勤とか?」

「ううん。ちがう…おじさんの家に」

「えー…、あのおじさんの家?…めっちゃ遠ー…」

 

「でね、大人になったら帰ってくるからそしたら、ずっと一緒の幼馴染じゃなくなるでしょ?そしたら、結婚できるかもだよね?」

 と真顔でオレに詰め寄ってきた。

 

 

 

「なー、美波…それってオレに結婚してくださいってプロポーズしてるようなもんだよ」

 

「あっ‼︎」

 

 美波は、赤い顔を手で覆った。

 

 んもー、美波ー。

 

「なぁ、美波」

「な、なに?」

「わざわざ引っ越さなくても…。それに少ない数ではあるけど、幼馴染が結婚する確率は0じゃない!だから…だから引っ越さないでよ。でさ…、今度はオレからプロポーズします!だから、それまで待ってて?ね?」

 と今度はオレが美波に詰め寄った。

 

 

「え、なんか…言わせた感…」

 

「バーカ。オレは美波のことずっと好きだったからな!美波に負けないくらい大好きだから」

 と少し恥ずかしいセリフを言ってしまった。

 すると美波は、

「ふふ、知らなかった。ありがとう。わたしも大好き。」

 と、さっきまで泣いて引っ越すとか言ってた美波は、オレの隣で笑った。

 

 

 

 

 そして、十年後の今も美波はオレの横で笑っている。

 

 たとえ0パーセントでもオレは美波と結婚していただろう。

 

 パーセントなんて降水確率だけで十分だ。

 

「美波〜♡」

「ユウト〜♡」

 

 オレたちは、ずっと一緒だけどずっと仲良しだ♡

 

 

 

 おしまい。

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