第5話 フリマアプリ活用お姉さん

 よし、不用品の写真を取って……っと。

 なにをやってるかって? フリマアプリだよ。これで、いらないものを売るの。

 キミにばかり頼っても悪いから、私でもできることをって思ってさ。


 試しに着られなくなった服を売ってみたら、結構な値段で売れたんだよねー。

 なにって? 子供の頃に着てた、キャラモノの服。

 なんか平成世代からすると、そそられるデザインだったみたいでさ。これぞ、平成レトロパワーってやつ?


 さて、結婚式の引出物でもらったワイングラスは、もういらないっと。

 よく考えたら、私、ワイン飲まないんだよね。お料理もしないから、ワインも買わないんだった。お客さんにも飲む人はいないから、これは不用品と。


 このヨガマットと、ダンベルもいらないな。歩くほうが、結局お金がかからなくて一番体にいいんだよね。物に頼りすぎるのは、よくないよくない。


 さて、展示と。


 キタキタキタ! キターッ!


 お客さんから、注文が殺到してるよ。OLの不用品ってので、顧客が集まってるのかな? 違う? もう、キミは夢がないねえ。



 やったね。そこそこの金額になったよ。

 この調子でドンドン……え、もうやめた方がいいって?

 どうして? 不用品がお金になるって、いいことじゃん。

 使ってみればわかるって? ああ、うん。そうするよ。



 

 あちゃあ。キミの言ったとおりだったよ。

 不用品が売れるからって、不用品を溜め込んじゃダメだよねえ。

 さらに、相手のいらないものまで、買っちゃった。

「不用品を売るためにフリマアプリを活用しているのに、アプリに出品するための品物を溜め込んじゃっていたよ。

 おまけに、顧客の必要ないものを仕入れてしまうという、負のループが始まったちゃうとは。

 キミは、これを予測していたんだね? さすが名探偵だよ。私の性格を熟知しているよ。

 

 フリマアプリは、魔物だね。

 意志力が弱いと、いるかいらないか判断がつかなくなるんだよ。そのせいで、こっちが向こうの不用品を買ってしまうなんて。

 キミが言ったかったのは、それだったんだ。

 片付けヘタな人間は、フリマアプリに手を出すべきじゃないんだねえ。



 あ、電話だ。ちょっと待っててねー。

 


 はい。私です。


 ダメよっ。そのプランは捨てなさい。

 最初こそうまくいったからと言って、いつまでも一つの成功例に固執してはダメ。アイデアなら、いくらでも替えは効くわ。一つの案に執着するんじゃなくて、もっと柔軟性を持ちなさい。わかった? そう、よかった。じゃあ。

 


 えへへ。かっこよかった?

 でも、キミに教わったことのブーメランだよね、今のアドバイスって。


 とはいえ、必要ないものが、誰かにとって必要だったってことはあるんだねぇ。


 回り回って、私のところに来たのかな。


 モノを大切にする精神自体は、悪くないって?


 ありがと! 

 

 じゃあじゃあ! これは買っていいかな? これさあ、私を待ってるって思うんだよね!


 えーダメーっ? なんでーっ?

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