第11話 存続の為の検索 012e 

 サーカス団と会う為にイムール飛地、マタンロンへ帰った

現代のサーカスと違う、且つては見世物、軽業、曲芸、手品等で

猛獣使い、ブランコ乗り等の大掛かりなものは無い

軽業は、現代の体操、組体操など体を使った動き

曲芸は、新体操の輪や紐、複数のボールや棒を使い組体操の併用など

手品は、観衆の目の前で見えて、魔法で無い事が解るもの

魔法の有る世界なので、大掛かりなものは受けず、タネや失敗を組み込み

口上で楽しませる

道化は、口上、仕草で楽しませる、花形で手品や曲芸などを織り交ぜる

調教は獣人がいるし、ブランコは魔法が存在、関心はしても受けない


(この様な世界設定であり、物語と明記して置く)


 身体の奇形や異常は見せるだけだが、行えば興業主に対し

現代なら虐待、差別、パワハラとありとあらゆる罪名が付き避難だろう

生産性の低いこの世界、食べる事が精一杯の世界で働けぬ者はどうするか

憐れみを乞うて生きていくしかないのだ、見世物との扱いを受けても

生きるための手段なので、理不尽だが他に術ない


 庶民は自分の食い扶持の確保に懸命、飢餓で無くとも仕事が無ければ

稼げず食えない、食べて行くにはお金が必要だが蓄えも財産も無い

そんな庶民が「身体の奇形や異常」の有る人を見たらどうなるか?

「自分より不幸な人が居る」と感じるだろう、それ以上の感情も…

 憐れみと共に蔑む対象、嫌悪や差別される者も多い

不具が有り正常な者より芸が出来て「すごい」とテント内で拍手喝采でも

隣人としては迎えて貰えない、テントを出れば…。


(そんな世界で有り、物語であることを重ねて付記する)


 マタンロンの支城のホールの一つ、

分散されるのを嫌うとの事で使用させているが、介護の為だろう

実際に自力で動けぬ者も居るからだが、警戒心も有るのだろう。

 僕の姿が入口に見えると、団員の集合が始まる団長の指示なのだろう。

団長に歩み寄る頃には揃った様で「助けて頂き、ありがとうございました」

一同の声がハモリ礼をされる


 「話を聞きたい団長と副団は別室へ、その前に皆に話がある、

偶然とは言え今回の件は僕との縁なのだろう、障害が有っても芸を売る行為

は構わないし推奨さえする、ただ見世物で憐れみを乞うのだけは止めよう

偽善は承知の上言う「見世物に成って欲しくない」これは僕の勝手な思い故

助力は惜しまないが、これから努力はしてもらう。

この行ないは、ここのメンバーに限ってであって、今後続ける意思は無い 


 皆さんから虫や小鳥が見えますし、トンデモナイモノが目に浮かびます

多分虫使いや、小鳥達を操れるのでしょう、他は差支えが有りそうですね

「解かるのですか、我らの能力が…」

「エルフィッシュ(小妖精)さん達も見えてますよフフフ」

【やっぱり見えてたのか~、目の動きでそんな気がしたんだ】

【声も聞こえてるよ】【キャン!】

「また後でお話ししましょう」


 「マンタロンでの興行を行っておりました」

「集客が数倍も有り、今までとの差が…」

「税金と場所代、賄賂が諸々で、大都市はコネと最初の資金が必要かな」

「お言葉通り、請求された税金、諸経費は三割程」

「賄賂の要求も御座いませんし…」

「僕は要らないから資金にすればいい」


 「本題に入ろう僕の要求を言う前に、移動の目的、あのメンバーは何?」

「目的地は、ザレン郡です」まだ、全てを話せない様だ

「エルフ、小妖精建ちがいるから、ザレン郡の”聖なる木”でしょ」

「そこまで、お見通しでしたか、恐れ入りました」

「詳細は”聖なる木”着いてから聞かせてもらうよ」

「それで良いかい」「「はい」」

「手配はするかど、その前にセルシャで公演ね、他にある?」

「そこまでして頂けるとは、思いませんでした、ありがたい」


 「許可もするし、興業の手伝いもする、だだし情報収集の隠れ蓑に成って

動いて貰うこれが交換条件かな。

団にとって不利益や危険に晒す行いはさせない、護衛も運送も任せればいい

ドラゴニア一族の中を興行する

「領主様の評価の隠れ蓑ですか…、一度は死んだ身と思えば」

「むしろ団員を守れて楽をさせてくれる…ですかな」

「では10数人の派遣とします、食い扶持手当不要です」


 過日、帝とのの話で町ぐるみの話題で、領主の評価の話をした

許可や認可の状況、仕事の進める速さや効率、悪事、賄賂の程度…

そんな奇抜な発想はお前だけだと言われたが、更に各地からの報告と

団の密偵の報告が異なれば…、ある意味抜き打ち調査に成る

 更には密偵で無くとも国の作付けや実り、気候等も情報の収集が

簡単になると聞かされ、帝は首をひねるが気付いた「成程、空か」


 「ワイパーンの拠点間輸送で手紙の配達が急速に短縮、需要が飛躍的に

伸び人や馬を使うより安全で確実、利用料金が割高でも使う機会が増えた

 王子のグループは武芸に劣るが、教育されていて観察、監視には優位だ

常に空から観ておれば、変化に気づき易く各種の状況や出来事を情報とし

挙げるとすれば…」

「領主の誤魔化しに目が光らせられれば、内密での開拓や鉱山等の事業

隠し事も監視に繋がる、作物の出来不出来が一目瞭然となれば…

成る程、保護に要する費用より確実に増収に成るか」

「王子のグループは輸送を隠れ蓑に、拠点輸送網を拡大すれば…」

「国内の監視が出来れば、不穏な動きも抑えられ、他国との結託も…

孫のようなお主に教えられる、予想だにせぬ献策か

しかも、我に気付かれる前の目途が立った時期に、手の内を晒すのか

利発で可愛いだけでなく、信頼を勝ち取る術を身に付け、恐ろしくも

頼もしいの~、お主の好きに続けよ

テリー、ネルソン、ダーリングには話を通して置き協力させる、

何か在れば念話を入れよ」

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