第10話 温泉と近隣城主 012d
「坊ちゃま、景色は良いけど、周りから見られます」
「人は裸を見られると恥ずかしいのだったわね」
「わらわ達は服は着んから、恥ずかしくないが、不思議な感情よの」
露天で見渡し抜群だが、逆に自分も丸見え、男性は飛び込めても
女性ではタオルを巻いても差恥プレイだ。
彼女達の気持ちの安寧と入浴を楽しむのに施設は必要
魔法を駆使して整地を励む、事前の準備が有り建てる必要は無く
旅館的施設や入浴施設等必要な物はイムールの城で作らせ、備品込みで
収納して有るから出すだけ。
スタッフも事前準備で同時に揃えて有り、建てた後「転移」で迎えにゆく
大きな浴槽が二つ、片方が広く造られている
将来男女に分ける際の下準備も兼ねている
浴槽から距離を取り、水跳と排水を考慮した位置に、シャワー状の滝が
幅広く造られている。
ローマ式の入浴法で、熱い湯で暖まり身体を緩ませ、冷水シャワーを
浴びて身体を絞める、それを繰り返す、健康法も兼ねているであろう
入浴中アイリが「コニー、我らと一緒は恥ずかしくないのか?」
「同性は良いのよ、異性の目が恥ずかしいの」
「マイクは雄じゃが」
「子供の時から一緒だし、お世話がお仕事だから、マイク様は良いの」
「そうなの?」理解できず不思議そうなドラミとアイリだった。
僕の居る所へ獣娘やコニーが入るので、大きい浴槽に入る
獣人にボスやワイパーンは暑いのは苦手の様で、滝に打たれて満足げ
早々に風呂を後にしていく
石鹸は無く、各種の灰を袋に詰めたものを浸して擦るがアルカリ性で
多用すると皮膚が弱いと荒れる
マイクが用意した物は「無患子(ムロウジ)」の実の皮
袋に入れて桶で振ると成分が水に溶ける、その桶に布を浸して擦ると…
植物油脂の天然石鹸水で肌に優しいのだが、集める手間暇で懐には痛い、
「坊ちゃま、洗いますよ」コニーに急かされ、風呂用の椅子に座る。
「背中終わりましたこっちを向いて」正面にコニーが座り、洗ってくれる
目の前には幼い時から見知った裸体が有る、コニーは前も下も全て擦り
洗う為と握られる、悪戯で先を摘ままれる事もあるが、ひたすら耐える
王族は身体を擦る事も洗う事も、衣服の着脱も自分ではしない、
立ったまま、座ったままで全ての過程を任せ委ねる。
子供の頃から王族のマイクだから平気だし、コニーだって姉弟同様で、
当たり前に仕事として、傍使えを続けてきたのだ
大人が居ない時は、お互い遠慮も無いし、マイクもそれを受け入れ
「あれコニーに、おちんちんが無い」
「坊ちゃまは男の子、コニーは女の子」
「おちんちん無いとおしっこ出来ない」
「こうするの」しゃがんでみせる、王族だし5歳と10歳で差恥も無い
二次成長でマイクも男の子となり、分身も反応する様になる
初めての精通も、お風呂で握られた状況で、彼女の手の中だった。
母のアリシアはコニーを気に入っており、お手付きに成ったら黙認
将来的には、貴族の娘であり愛人として仕えよと、コニー明言していて、
専属メイドの教育は生娘であっても男性の生理的現象を教えられており
後継ぎを得る為に必要な、マイクの性教育係でもあるとの認識している
全てはマイクの行動に委ねられ、その結果次第なのだ。
マイクにはジョージの記憶があり、父母の恋愛、営みも知る
性知識は有り、分身も相手を求めている、コニーと致せば子ができる、
世間で正妻の前に出来た子による、お家騒動の例も、父の黒歴史も知る
「愛しい」が人を好きな事は理解する、恋愛がどんな感情か…判らない
単に「一緒に居たい、人に渡したくない」なら共生する仲間だって…
父の一人を愛する、伯父の血筋を守る、12歳の頭では折り合わない
愛しいと思う相手を不幸にはさせたくない、と思い
愛しいと思う癖に手を出さず、自分のモノの欲望の処理だけ求める、
気持ちを伝えたり、身体に触れれば歯止めが外れ、以後の暴走を恐れ
求めれば応じてくれる相手が居る、我慢とジレンマが続く
ドラミとアイリも入浴、皆で洗い合う。夢の混浴…なのだろうか…。
牧場に建物が一日で出来て、風呂なるものは気持ちが良い娯楽との
何処からかの噂が流れ、一挙に近隣に広まる事になるが一行は知らない。
翌日には近隣の者の嘆願で、入浴施設を拡充して開放して見たら、
更に人が集まり、入浴が面白い事と捉えられて、人が集まり出した。
仮のバラック家が建ち、食べ物屋、灰袋や桶屋と近隣の者が集まりだし
地名を、硫黄の腐敗臭の匂いから「臭さっ」と「クソ熱っ」を捩って
何時しか「クサツ」と呼ばれる事となる
お湯は熱く、近くの小川から水引き込んで、温度調整をしている
「気持ちい~、極楽!極楽!」
「極楽って何だ?」「天国って事だよ」
「まだ死にたく無いですよ~」話が嚙み合わない、がこれが庶民
仲良く楽しめればよい
ーーー近隣からの訪問者
リアサカ、ベルモルブ、ガゾンの大公国の大公自らが、お忍びで来訪
数人の部下だけ連れている。
極秘裏に面会と視察を申し込まれた、関所とかは無く不法入国ではない…
来訪者主従はかなり緊張している、殺気立つが正直な状況と言える
相手も個別ではなく、来訪者全員が知り合いの様で纏めて対面したい旨だ
広い部屋で向かい合う「女に子共ではないか」軽んじる会話が漏れる
「僕に面会したいとの事で許したけど、情報も碌に得られて無いのかな」
「ご無礼をお許しあれ、お姿を拝見し予想以上に幼く感じ申した」
「姿形で判断されるなら、こちらに用は無いお帰り下さい」
語気を強めても迫力も無い、拗ねた様にしか見えまい、立ち上がる
「ここは我らが地、無礼で捕えられても文句は言えまいが」
「僕に脅しとは…、捕えるならご髄に、ここに舞い降りた集団の本来の姿も
確認せぬとは、近隣の住人も哀れな領主を持ったもの」
「この程度では、さすがに動ぜぬか噂通りじゃな」
「マイク殿許されよ、もう一度お座りくだされ、失礼の段、私が謝ります」
平伏して謝意を述べ「ガゾン大公殿死ぬぞ、口を慎まれよ」と素気無く話す
一人は少し侮りがあるようだ、座り直し
「面会の趣旨は何でしょうか?」普通に聞き返す
「ここは山間部、国にも見捨てられる程で、特に産業もございません」
「そんな地に、ドラゴンやグリフォン、ワイパーンの雑じった集団が飛来
変身して、一夜で「湯の里」を建て庶民に開放して賑わっている」
「話の種の無いこの地方で、2~3日で噂がこの一帯を席巻し国都迄に
広がるのも時間の問題かと思われます」
「予てより聞き及びました、噂のマイク殿とお見受けします、呼び掛けし
先程も否定なされませんでしたし、改めて紹介を」
「袖すり合う縁で噂の施設を見に来た、名乗らずにいれば世間話で終わる
話の先が見えぬ今、たがえても、後の聴取でも噂程度を知っていたのと、
名乗り合うのでは心構えや態度が異なる、故に世間話でもしようか」
「湧き湯を使い入浴施設を一夜で建て、近隣住民にも開放したと聞き
真偽を知りたく参りました」「堅苦しいからタメ口、タメ語ですすめるな」
三人を見て頷きを確認「聖地は魔法、施設は建てといて「収納」してた」
「馬鹿げた話にしか聞こえん」「種明かしされた内容の方が凄まじい」
「貴方がこの地を自由に出来たら如何される」
「自分の国ならエンタクから、道を拡張するけどね、
クサツの温泉と火山、入浴と火の山見物は人気になるだろうね、
ベルモルブからエリアンに抜ける道が、広がり整備されればね」
「今のお言葉、誠でございますか、その様な見通しが立つならば、
その開発を支援して頂く条件で…」「ほらほらタメ口と世間話忘れてる」
落ち着くのを待って「僕に毒づいた貴方が乗り気ですか、最後まで聞いて
その上で世間話で頼みます続けます」茶を啜る僕と期待する顔が三つ
「温泉は、現に僕が楽しみに来るような場所だし、投資には異論はない
リアサカ、ベルモルブ、ガゾンと道路を整備して往来を拡げ馬車を通す
最終的にリアサカ~ベルモルブ~ウドゥド~イテアス~ネルファナール~
エリアンと結び、エンタクとリアサカの間に港町を作り漁をさせる。
キャス方面、エンタクの航路、セルシャの陸路からの人の呼び込み
海産、山菜と畑の小麦や野菜が回り易く成るだろうからお金が動く事に成る
これがこの辺りの僕が考える少し先の思いだね」
三人は顔お見合わせる、子供がと侮ったがこの地域の先の計画が、
事も無げに、地名入りで語られたのだ
「ここからは独り言、聞こえるかもしれないけど「独り言」
僕は四男で次期王には成れない、父と伯父に強請れば計画の大半叶うかもね
ただ僕はそれはしたくない、どうせなら自力でやる
成人前後までに戦いに赴く事に成る、やるなら他人の成さない事をする
目標は北でこの一帯迄が最初の目標、空耳か寝言かも知れない
ここは大陸北と東が広がるのを塞ぐ陸路ポイント、目先の餌でで動かぬが得
将来は僕のホラ話聞いた家臣がほしいな~」
「これが温泉と言うものか」
「熱いと聞き恐々入ったが、気持ちが良いものだ」
「熱、冷交互の入とは良いものだ」
「ルザグ迄とエンタク迄の距離が同じとしても、道を広げたなら
馬車で行けるから、掛かる時間は減り運ぶ量は増える事に成る。
ルザグは人口8千、エンタクは4万だと…、繁栄がちがう」
「あの坊主強請ればと言うが、帝都エリアン迄、結ぶと独断で判断していた」
「ドラゴニア一族とは云え12歳、そんな子供が簡単にあれ程の事を答える」
「親掛りは嫌だ3年間程待てば臣下にして、自分でやってみせると言う、
期間を切って筋立てて、話おった」
「売り上げは道路整備に仕え、職員は1年後は現地の者に切り替える
推薦者を出して修行を付けるというし、どうなってる」
「これが現実なら今まで道理の指示待ちでは…」
「何れにしても豊かになる為に自分も変われか…」
「忘れる前に話しておくぞ」首を撥ねる真似をしてから、お道化る様に
「ガゾン殿、先程の事だが、ここ温泉が無かったら、飛んでおったぞ」
「ドラミとアイリと名乗った娘の正体ご存じで、あの物言いでしたかな?」
「いや、情報不足を指摘され、実は、かなり不安でござった」
「擬人化や小型化したドラゴンとグリフォンのワイパーンですぞ」
「変身を解けば傍に寄るのも恐ろしい存在」
「ウオ~、そうであったか、あの歳であれでしたな…」
湯船で三人で交わされる会話に溜息がまじる、溜息は何思うのか。
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