第9話 人攫いの町 012c
ワイパーンの活用の大筋が見えて来た~
将来的にはドラゴンやグルフォンも投入したいが「魂が二つ」の謎が解けねと
彼らとの次のステップは無理の様だ、先走っても天辺に居る訳では無く、ただ
伯父と父に遊ばせてもらってるのだ、上手くいって結果が出れば続けれる
もう少し遊ばせてもらえる。
最近無理して忙しく夜は寝る時間が減った、身体を休める必要が有りそうだ
ムルキズ帝国のベルモルフ付近に、温泉がでるとの話で、疲れが取れるとの噂
情報収集を兼ねて出掛ける事にした。
いざと成れば転移も出来るし準備等要ぬが、手の内を公開する事も無いので、
アリバイ作りは必要。パラ兄妹と神獣娘、コニーと僕とボスの他二匹
一つ心配事が有る、イムリーの城に来て人真似から始まった二人
ドラミとアイリが同行する、もう結構な日日が立つが幼子レベルの躾
コニーとパルのお荷物に成りそうだ。
拘りや好みが生まれて持ち物が増えたが、整理整頓の習慣が全く無くて
管理が期待できない、城のメイドを連れて行きたいが、飛ぶと聞き拒否され
仕方なくアイテムボックスに山ほど詰め込んでおく
この世界のお風呂は欧米と同じ、シャワーと言うか掛け湯が主で
浸かる事は有るが、入浴の習慣は存在しない
ただ古の国の入浴法と言うのが有り、疲れが取れるそうだ
その為温泉と聞いて、試したくなり出掛ける事にしたのだ。
聞いた話では山から熱いお湯が小川の様に流れ出ていて、
放牧地にそれが溜ま池に成り、牛が馬がノンビリ浸かっているのだと言う、
牧場温泉と称され地熱温泉、平均温度59度
エリアンを出発する、アリバイ作りだから目撃者がいればいい、
パルとパラは相棒のワイパーンに、ボスにコニーが、そして変身を解いた
ドラミ、アイリとマイクの三人は自力で飛んでいる
レフランスターをでてエリアンの城で一泊、帝への挨拶と報告後
再び空を行く、従姉妹二人が同行を希望したが、当然許されなかった。
エリアンからベルモルフは北東東の山越え、途中はアイマルゴンドの町
以外は郊外、街中は地上数m高度で、それ以外は木より高い位置で飛ぶ
直線で700㎞弱の距離だが、ウドゥド、ベルモルフとやや遠回りをして
情報と目撃者募集だ、距離750に伸びるが支障は無い、理由は転移で短縮
流れを川沿いに遡る、皆、飛行しながらから街を眺め、
大きなテントと小さめのテント群、幌馬車の集団を見つける
「あれは何じゃ」「人や動物が曲芸をする場所だよ、サーカスと呼ぶ」
「見て見たい」「今日の公演は終わってる時間だね」
「興味がが在ります、ぼっちゃま」
「明日の公演時間を聞いてみようか」全員で近くに降りて擬人化や小型化が
スムーズにいくと、見ていたサーカスの団員だろう「パチパチ」と手を叩く、
何故か解からず戸惑っていると
「私達から見ると、その変身さえ見世物です、ましてやそのお二人は
仲間や捕獲等難しいのに、仲良さそうで素晴らしくてつい」
「拝見したくて明日の公演時間を聞いて、宿を取ろうかと参ったのですが」
「その人数ならテント一つお貸しします、こちらもお話を伺いたい」
思惑が有る事は想像できるが、こちらもサーカスの実態を知りたい
「捕獲」との言葉も気にかかる「よろしくお願いいたします」
食材はマジックボックスにあり、夕食の支度を進める
団員の視線を感じる、食事内容、集団の構成に興味津々なのが判る
団員と共に食事を始める、挨拶で声を掛けて来たのがロビンで副団長
団長はトーマスと言い、市長から呼び出されて不在だそうだ
「貴方達は皆等しい食事をしている、身分や種族での分け隔ては無いのか」
「城や公式の場では、そう成らざるを得ないけど、僕のテリトリー内では
一切無いと言えるよ、だってここの皆は仲間だもの」
「ドラゴンやグリフォンはまだしもワイパーンもメイドも同列で同等扱い
サーカスと言う、このコロニーでさえ格差は存在する、働かざる者に…」
ロビンの言葉が詰まる
「余分に有るから、分けて食べていいよ、お母さん取ってあげて」
物欲しそうに料理を眺める子供が数人、親が窘めても戻ってきて再び立つ
見兼ねてそう言うが親は手を出さない
「ロビンさん、そこのテーブルの分は全て食べて貰って下さい
私達は自分の分は確保して有りますので、良ければお任せします」
意味を理解した途端、周囲の雰囲気が変わり、一斉にロビンに視線が集中
量的にはかなりの量が有り、僕らでは余る量なのである
ロビンの気持ちの中にも「見せ付けやがって」との気持ちがあるし
この量の意図を謀りかねていた、相手は予想外にも王族、掌を返す態度が
在り得る相手、素直に見掛けや言葉で従い、見下されたり、痛い目を見る
事を避けるべきだが判断が付かない
「副団長さん、僕は獣人で只の騎獣乗り、今、貴方が心配している事は
解かるつもり、ワイパーンに話させる」パルである
【他所の部族の長の方、我をよく観よ、拘束や従属のアイテムが見えるか?
小型化した我らの扱われ方に疑問は有るか?、大将と共なら同じ餌を食う
働けば糧も縁も貰えて妻も子もおる、謀られる心配など無い】
獣人の狼とその相棒のワイパーンが、念話を交えて話して来た事に驚愕し
二人と交互に目を合わせ、頷かれてやっと覚悟を決めた。
「マイク様よりの「おもてなし」だ、女達は子供に取り分けてやれ、
不在の者にも取って置け、二度と食えぬ料理だぞ」
ロビンの声で待ちわびた者が一斉に動く、さすが統制が取れている
「美味いなー、おい取るなよ!」「食べるのが遅いからから、喰ってやる」
「ロビンの言葉通りだ、食った事無い」「俺ら食った事無いもんだらけ」
「はは、言えてる」「小さいけどドラゴンだよな」「いいから、まず食え」
見る間に無くなっていくが、団長が外出中なら取り置きは2~3人だろう
だが、明らかに数人分が別のテントに運ばれた
僕らは成人の15歳前後の集団、王族で12歳のガキが引き連れた集まり
酒も入らず、遠慮も有り話は盛り上がらず、床に就いた
まだ夜中「何?」炎の揺らぎがテントに写り、悲鳴、罵声、金属の打音
さらに「パチパチ」「ズズズン」等と燃えたり崩れる音が混じる、火事だ
反対方向のテントや馬車が襲われたと言う
テントの関係者だろう、怪我人と看護者も入り混じり騒然としている
「エリアヒール」「リカバリー」一斉に視線がこちらへ来た。
驚きつつ「ありがとうございます」回りの方々から、感謝の言葉が飛び來る
老人が幼い子に手を引かれて目の前に来た「じっちゃん、この人」
「何処の何方か存じませんが、助けて頂き感謝致すます」
「気にしないでいい、目は生まれつきか?」
「病です」「さっきエリアヒールを掛けたが治らなかったか」
「ここに居りませなんだ、州知事に呼ばれまして、今戻りで」
「不在中にこれか「グレートヒール」」
「見えます、ありがたやありがたや」
「治って無い者は居ないか」大声で叫ぶと
「死人はいませんし、怪我人も治りましたし」
「団長、この方に救われました、言いました様に攫われた者だけです」
「攫われた者は」「取り返しました」
団員の会話を聞きながら、違和感を感じる
町の中心で行われた襲撃、普通はドンパチが収まれば住民の野次馬に囲まれ
警備兵が来て事情を聞き始める、そこここに数名の死体が転がっているので
周囲に気配や足音、騒めき、人影が見えだした、ただその気配に悪が有る
死体に取り縋り無く家族「返せ、お父を返せ」「息子を返せ、何故殺した」
「…これは」囲んだ群衆にに警備隊も軍服も見られ、ジリジリと迫って来る
サーカスの者は追い詰められていく「成り行きに声も出ず、身構える」
「わ~、敵討ちだ~」「逃がすなよ、捕まえて売り払え」群衆が襲ってきた
まさに襲撃が始まって、先頭の者が目標に向かって一斉に走り出した
そのタイミングで、サーカスのテント、人、馬車の何もかも消えた
目標が消え空き地の広場に戻り、灯りが消え暗闇に、戸惑いたたらを踏む者、
止まって呆然とる者「消えた何処だ」「おとうの仇」「金づるは」探す者達…
走り出していた群衆は先頭が止まっても、後ろの者は見えず突っ込む
「ギャー何だ」「痛た、押すな」「止まれ消えた」突き飛ばされ転び
転んだ者に足を取られ、押し倒され、折り重なり混乱し始める
サーカスの連中の居た場所の、灯りも全てなく星明りの元での騒動
反撃かと刃物を振り回す者も出る始末、暫らく続く事になる
後日、クエニアンと言う州都の街で数百人の死傷者が出た大惨事
町ぐるみの誘拐、強盗の結果とも言えず、被害が多過ぎて隠しも成らず
町の幹部の工作で「謎の事件」と呼ばせて誤魔化し鎮静化す事に成るが
結局、真相はマイクから帝に報告され、軍が派遣され幕を閉じるる事に。
襲撃が始まった、戦える者はキャンプの外に立ち身構え、弱い者は震え
テントの中に居た、外の者が倒されれば辱めや売られるのが待っている
足音や叫びが迫り、罵声や怒声の内容が判る程に迫る中
「今日の料理、美味かったなー、もう一度食べたいな」子供の願いだ
生きるだけで精一杯、法外な願いに等しいが、料理と共にマイクの姿が
思い浮かび「ドラゴンさんに…」
チャドがテントの外に飛び出した時、目の前の群衆も街も搔き消えた
何が起こったか判らないが暗黒の闇から、街の灯りが復活した「何これ!」
公演で回っていた規模の街ではない事は、灯りの数で理解できた。
サーカスのキャンプを昼間の様に照らす光球の群れの元
「ようこそイムリー大公国 副都マタンロン(飛地)へおいで下さり
公演を行って頂けるとの事、ドラゴニア家の者として感謝いたします」
後に控えるマイクの仲間達も「ニコニコ」の笑顔
お道化て話し出す、マイクの傍にサーカスの者達が寄って来る
何が起こったのかを聞く為に全員が集まる…
先程見なかったエルフらしい種族もいる、あれが隠していて攫われた者か
「ここは父の領地の飛び地、僕のクランが有り、現在は僕が一番上になる
先程いた場所はセルシャの伯父の領地、僕と伯父は仲がいい
今回の事も知らせておくから全て始末されるだろう、次回訪れたとしても
何の支障も起こらない、安心せよ」
「マイク様焦らさないで教えて、如何やってここに運んだのか教えて?」
「魔法で「転移」させた、は難しいか、瞬間に飛ばしたで解るかい」
頷くのをみて「身の心配より、好奇心が先かフフ」
メッシュ司令官、この飛地の警備隊長、実質ここの責任者が到着
「若、これは如何なることですか?」
「詳細を説明する前に、この一帯を封鎖警備して団員を休ませてあげて」
団長、副団長を呼び、メッシュ司令官と顔合わせをする
「長官、この二人から事情を聞いて報告書を父に挙げて」
「父から帝に報告を入れさせるし、父、伯父に僕から念話する」
少し沈黙した後に
「僕は旅の途中だから、アリバイはここには無いから帰国後対応する
サーカスは出来るだけ早急に公演を開始する事、クエニアンからの距離、
数日でここ迄は移動できないからここでの公演のアリバイを造る
クエニアンで起こった事は、彼らが起こした事、公には出来まいが
公にし様にもこちらにアリバイが有る、これ程の事をするなら前科が在る」
「成程、何か有っても、居ない者に罪は被せられぬ、ここの者は無関係」
「偽装のごり押しもできぬし、尻尾が出るかもククク」
「相変わらず、坊は狡猾じゃな、後は任されよ、夜食も用意させたし
寝床も申し付けて有る支城で休まれよ」
翌日昼迄寝て転移でクエニアンの広場へ戻り、変身後北へ再び飛び挙がる
「マイク様ウドゥドが見えました、予定道理降りますか」
「降りる、お昼を食べて行こう、食べ物屋で豊かさが判るから」
野菜や果物を籠で担ぐ老人が通る、籠を指さしながら
「果物無いかな~、水代わりに欲しいけど」
「金持ってれば売るぞ」「セルシャのでもいいかい」
「この国のより価値があるよ、願ったりだ」
「籠の全て買うから、美味い店教えてよ」
言い値買って、コニーが支払い、ニコニコ顔で案内される
「おい親父、上客大勢連れて来たぞ、今日は上定食をくれ」
「籠が空っぽ、成る程な」
「その人と同じモノ、九人前」
「あいよ、確かに上客だ、上定9つはうちも嬉しい」
「セルシャから来たけど迷子なんだ、ここの町は何処なのかな」
食べ乍らの会話であり、言い値で売れる事は無く懐も気持ちも緩む
見てからに異質な一行でガキが仕切る様は警戒する対象の筈なのだが
物売りも店主もご機嫌で対応してくる
「ウドゥドだよ、何処行くんだ」「ベルモルフ」
「あっちの方向だよ、ここを出て道なりだが、ホントに行くのか」「ああ」
「何も無い、だだの田舎町だよ」「お湯の流れるの見に行くんだよ」
「物好きの暇人か?」「暇人だよ、ハハハ」
食べ終わり会計後、意外に美味かったので「礼にセルシャの菓子食うかい」
皮袋ごと渡す「毒見するから袋の口開けて」「信用するわ」
「うめ~」物売りの叫びで店主も出て来る「俺にもくれ」物売りにねだる
皮袋を放る「また来てくれよ」ニコニコの二人に見送られ
先程指で刺し占めた方向へと飛び上がる。
30分も飛べば目的地のベルモルフ
通常は難儀だろうが、僕らには空を飛ぶので問題ない。
ムルギス帝国の領地だが、セルシャからは山間僻地、行く手を阻む壁
そんな場所へ訪れる一行、噂が広がる迄に時間が掛かるだろうと、
気楽に空を飛んで移動にしたのだ。
滞在数日でも、騒ぎが広まる頃は既に居ない心算ウドゥドと同じ様に
特産等を買い情報をあつめる
いざ着いて見れば名前のまんま、牧場の池が「温泉」 実際に放牧地にお湯が溜まり牛がノンビリ浸かっている、平均温度59度
即、持ち主に交渉、池、川一帯を買い上げた。
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