第7話 魔力暴走 012a
マイクが原因不明の高熱に侵されたのは、ザラタン討伐から二年程後で
その日、ベットで熱にうなされていたが、震えから引付を起こした。
それが原因で魔力の暴走に至り、マイクの周囲でエネルギーが渦を巻き、
竜巻の様に部屋を掻き回した挙句「フッ」と城から、その姿が消えた。
見ていたコニーが慌てふためき、城がパニックに成り捜索が開始されたが、
当て等無く闇雲に捜すのみで、懸賞も掛かり、占いや神頼み状態であり
時間と共に落胆が広がっていく。
ーーーラウミエ、ドラゴン生息地
マイクは気が付けば、峰々の連なる山岳のひと際高い山の空に浮いている、
暴走で飛ばされた瞬間に魔力が消費され、同時に熱が下がり意識が戻った、
ぼんやりと景色を眺めていたが、落ちるかなと思った瞬間に爪で掴まれた
【のう、おぬし人族じゃろ、何でこんな処に浮いておるのじゃ】
「分からない、気分が悪く寝てて、急に身体がガタガタと震えだしたんだ」
【そしたら浮いてたって言うのじゃな?】
「うん、落ちたら死んじゃうかなって下見てた」
【この高さじゃと人族は恐がるのは当然じゃろうが、おぬし震えておらぬの】
「なんでだろ、分からないけど、落ちない気がしてたんだ」
【フフフ、何れにせよ変な奴よ、一度下に降りるぞよ】
「うん、ありがとう」ドラゴンはマイクを掴んだまま降下する
後に知るが、ラウミエ山岳地帯、回りは山々が連なり四方に尾根が走る
岩場で険しい環境、天気も変わりやすく、今の時期は雪こそ無いが朝夕は寒い
絶壁のテラス状の場所に降りる、族長のドラゴランの日光浴をする隣へ
【ドラミ、掴んでおるのは人の子ではないか?】
【山の頂の上の空に浮かんでたのよ、ポツンとね】
「僕はマイケル・イムリー・ドラゴニアと言うんだ」
【ドラゴニアの一族でマイクとな、お前が神託の子になるのか
「魂が二つに成った時、我らはお前に救われる、末に僕と成り人と共に歩まん」
そうか…今はその時では無く顔合わせなのだな】族長は独りごちる
【パパ、それ何なのよ、それでこの変な奴を如何するのよ】
【マイクか挨拶が遅れた、我はドラゴラン、このラウミエのドラゴン一族を
治める長をしておる、お前を拾ったのは娘のドラミと言う、儂の孫娘じゃ
その様子だと「魔力暴走」かの、ならばお前の親が慌てておろう
今日は城迄ドラミに送らせる、気が合う様なら今後も遊べば良い】
「ありがとう長、ここが何処かも、帰り道も判らないから困ってた」
【ドラミ仲良くしてやれ、こ奴は我らを恐がっておらんし、遜る様子も無く
対等にものを言いよる、気に入った故イムリーの城へ送っていけ、
遊び相手になる様なら遊んでも構わんぞ】…
ドラゴランに見送られ、ドラミに背に乗って良いと言われ、
振り落とされぬ様に、首にしがみ付きながら周りを見る
山の切り立つ崖を、少し下った位置に大きな洞窟が幾つも窺える、
天然の要塞で絶壁の巣、天から以外の侵入は難しい。
そんな景色が見ながら谷合を飛んでいる
周りの山も無人のこの辺りはどの国にも属さず、ドラゴンの生息地として
ラウミエと呼ばれる地である。
岩ばかりの山々の世界から、佇まいが穏やかに成り、低い灌木の森や
高い木の深い森が続く景色に変わり、イムリーに入っ頃それは現れた。
地上から鷲の様な馬が、駆け上がるのか、飛び上るのか次第に近付くのだが
その表現に困り「あれは何?」ドラミに聞くと【喧嘩相手】と即答、
バトルかと緊張するも、相手が掛けた言葉は
【ドラミ何で人なんか乗せてるの、私と遊びなさいよ】
【この子を城に送るのじゃ、お爺の命令なのでの】
【長が人間を孫に送れって本当に?、如何して?】
【神託じゃと、それにこの子はわらわ達を見ても、お爺らを見てもビビらぬ】
【そうだね私を視ても興味津々みたいハハハ、でイムリーの何処に行くの】
【イムリーのマタンロン、この子は王子の様じゃで城に行くのだ】
【面白そう、私も行きたいから、一緒はダメかなそこの人】
「小型化か人化出来ないと城内に入れ無いよ、流石にその大きさじゃ
庭だけだから、もし良ければ僕が小型化させるけど」
【なら大丈夫任せなさい、擬人化出来るから】
【あら、今気づいたけど私とかドラミと同様に捻話できるのね、面白い子
わたし人族の生活を間近かで見たかったのよ】同行者が増えた。
イムリーの平原の上空でいきなり【マイク、匂うのじゃが】
「エッ、僕、漏らしてないよ、って、何が匂うのさ」と、驚いて言葉を返す
【お宝じゃよ、キラキラとか魔力の強い物が有ると、キラーンってなるのー】
「光物って小さくて見つけ難いし、魔法の物って光る訳でもないし…」
【あれよ、あれじゃ】崩れた石積みの廃墟、もう廃墟と言うのも
当て嵌まらない程荒れて碌なものは無いが、中心に石のアーチ門だけがが、
辛うじて残っている「あ~、中に何か仕掛けがあるわね」
降りた後で「ドン、ドン、ドン」ドラミが尻尾で軽く連発攻撃
偽装された装飾を崩し、出てきた二車線幅の金属のアーチ、転送ゲート完動品
「ドラミ、大手柄!後でご褒美だよ」「収納」マジックボックスに仕舞い空へ
この時を含めて、自分の収納量に疑問を持つ事はなった。
イムリー大公国、首都の上空に来たら、大騒ぎになった。
「ドラゴンだ!、グリフォンだ!」人々が逃げ散り、家に篭り扉を閉ざす。
ドラゴンが攻撃すれば災害級だが、この地方にはラウミエの約束があり、
いきなりの攻撃は無いと篭ったのだ、案の定覗き窓等からこちらを見ている。
城前の広場はイベント用、城門の大門の傍にドラミに降りるように指示する、
地上に降りたドラゴンから、少年が降りて、それが僕だと判ると
「わ~~」歓声と共に、広場に人が飛び出し、門の前に人垣となった。
僕は行方不明、現在この都で大捜索中の賞金首なのだ。
魔力暴走で転移したとは想像もしないし、神隠しか誘拐と思い慌てたらしい
更にこのお供だ、この騒ぎの鎮静化を図る事は、僕の仕事に成る様だ。
魔法により拡声する【「皆に心配かけてごめんなさい」】首のみペコリ
【「魔力の暴走でラウミエ迄飛ばされて、ドラゴンさん達と友達に成ったよ、
帰る途中でグリフォンさんに合って、この娘達に送って貰ったの、それでね
この子の仲間や両親も遊びに来るけど、心配は要らないよ、僕の友達だよ、
今迄通り、僕は僕だし、これからもよろしく頼むね」】
【「ドラミちゃん、アイカちゃん挨拶と小型に成って見せてあげて」】
「フッ」とドラゴン消えた様に見えたら、そこにマイク程に成った娘が
【我はドラミじゃ、王子と友達に成った故、今後も遊びに来るから、
怖がらないでほしいものじゃ、形が変っても覚えて置いて欲しいのじゃ】
「フッ」とグリフォンが消え、王子と同じ程のサイズの少女に擬人化
【アイリです、王子の仲間に成ったのー、遊びに来るからよろしくー」
人は自分より相手が大きいと怖がるが、小さい相手だと可愛く思える
魔獣と恐れるのに、サイズが変るだけで可愛いと思う、不思議なものだ、
通用門が開き放たれ、女性が飛び出してきた。母のアリシアだ。
「マイク、私のマイク~」抱締められ、頬ずりされ、泣かれてしまった。
「王妃様良かったね~」「王子おかえり~」「ドラゴン万歳~」
手を振りながら門内に入るが、歓声は暫く続いた。
”ラウミエの約束”とは”ドラゴニア”一族とドラゴンで交わされた約束
古より語り継がれ「一族の治める地、ドラゴンからの先制攻撃は無い」
とされる、攻撃せねば攻撃を受けなない、何かが有るのだろう。
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