第2話

サラはラウールとリビングの家具を一度全て物置へ移動させた。

必要な机や椅子の配置などをラウールに任せ、サラは式用のドレス、リアムの遺影などを準備することにし、2階の自室へ向かった。

遺影を机に置き、ドレスを選んでいると、




ガタッ、、

ガッシャーン、、




下から音が聞こえ、ラウールが何かを倒したりしたのだろうと、サラは様子を見に行った。

予想通りだ。




『ごめんサラ、カーペットに躓いてお皿を落としちゃった。』

「大丈夫よ。足りなくなってしまったら買えばいいじゃない。それより怪我は無い?」

『大丈夫だよ。』

「良かった。じゃあ、私は戻るわね。」




サラはドレス選びに自室へ戻った。

すると、リアムの遺影が床に落ちていた。

ガラスも割れてしまっている。

机の端にバランスが悪く置かれていたならわかるが、サラは机の真ん中に置いていた。

サラは恐怖を覚えたが、そんなに気にすることでは無いと自分自身に言い聞かせ、ガラスの破片を集め、額縁を新しいものに変え、またドレスを選び始める。




コツ、コツ、コツ、、




突然、足音が聞こえた。

ラウールかと思ったが、廊下には誰もいない。

サラはまた恐怖に包まれた。

1人でいるのが怖いため、急いでドレスを選び、ラウールの元へ行った。

ラウールはまだ準備が終わっていないようで、サラは手伝うことにした。

テーブルに布を敷いたり、椅子に飾り付けをしたり、カーテンを束ねたりした。

すると突然、




カタカタカタ、、




キッチンのカウンターに積み重ねていたお皿が揺れだした。

地面が揺れている感覚もなく、サラはまた恐怖を感じ、ラウールに全て伝えた。




「ねぇ、ラウール。さっき、私が1人で居た時、ラウールじゃない足音が聞こえたの。それにその少し前に、ラウールがお皿を割ってしまったすぐ後に、リアムの遺影が床に落ちてガラスが割れていたわ。そして今のお皿の揺れ、おかしいくないかな。地震ならわかるけど、絶対に地震ではないじゃない。お皿だけ揺れてたわ。絶対におかしい。ねぇラウール、どういうことかしら、これ。」

『サラ、落ち着いて。大丈夫だ。遺影だってただ何かの拍子に落ちてしまっただけ。足音だってきっと気の所為だ。お皿の揺れは確かに僕も見たが、気にしてたらただ恐怖が増すだけだ。大丈夫、サラのことは僕が守る。』




"ビュッ"

"パリーンッ"




お皿が抱き合うサラとラウールのスレスレのところを横切った。




「やっぱりおかしいわ、お皿が飛ぶなんてありえない。ねぇ、ラウール、どうするの。リアムといた時はこんなこと起きたことないのに。」




"バリーンッ"

"ビリビリッ"

"ガシャーン"

"バン、バタンッ"

"ドンドンドンドンドン"




窓が割れ、カーテンが破ける。

ドアが急に閉まったり、椅子が倒れたりする。




「もしかしてリアムが怒ってるのかしら。ねぇ、もしそうなら本当にごめんなさい。リアム、あなたには本当に酷いことをしたわ。許してくれなんて言わない、ただ、怒りを収めてくれないかしら。」




お皿が飛び交い、装飾品も、遺影も落ち、リアムの怒りは収まらない。




"ドンッ"




カーペットが引っ張られ、ラウールがそれに滑って転び、頭から血を出した。




「ラウール、ラウール!!」




"グサッ"




ラウールにとどめを刺すように、ラウールの首にガラスの破片が刺さった。

そしてリアムの怒りは収まる。




サラは絶望した。

愛するリアムが亡くなり、もう1人の愛する者ラウールも死んだ。

サラはラウールが死んだのは"私のせいだ。リアムに嘘をついたから。リアムを悲しませた、怒らせたからだ。"と自分を追い込んだ。




「全部私のせい。」




サラは屋上から自分の身を投げた。




"ドンッ"

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