第3話

久しぶりに入ったのっちゃんの部屋は一部を除き変わってなかった。

机が新しくなってて、高そうなパソコンと周辺機器が揃っていたのだ。

ゲーム好きなのっちゃんらしい机廻りの進化を、ベッドに寝っ転がりながら眺める。


のっちゃんの部屋は一軒家の二階で、窓越しに俺の部屋が見える。

窓から行き来するとかおしゃべりするとか、そういう事が出来ないもどかしい距離感がある。

だから部屋に行く泊まるが当たり前だった。

昔はベッドで一緒に寝れたけど、流石に高校生となると寝てくれないかな。

なら今の内だと、のっちゃんのベッドを堪能する。

ふかふかでいいにおい、すき。


自転車を止める音。

玄関を開ける音。

しばらくの沈黙の後、階段をあがる音。

ドアが開き、お盆片手に持ったのっちゃんが現れる。


「想像以上にくつろいでた」


机の上にお盆を置き、のっちゃんが立派な椅子に座った。


「パソコンすごいね」


「まぁな…麦茶飲む?」


「うん、飲む。ありがと」


ぱっと起き上がりのっちゃんが用意してくれた麦茶を飲む。

のっちゃんの部屋でベッドに座り麦茶を飲む。

ひさしぶりの当たり前に、人心地の息を知らず吐いてしまう。

麦茶一杯、のっちゃんも飲み終わって、意を決したように話し始める。


「高清はさ、俺が好きらしいんだ」


あの睨んできた男子は高清と言うのか。

俺より小柄な茶髪を思い出す。


「だろうね、さっき睨まれたし」


あの睨みかたは、好きなひとを盗られた憎しみが籠ってたのか。

そして、まさか、のっちゃんの友達が共犯だったとは。

あの雑木林に居た高清、そして隣に居た男は間違いなく。


「明日ちゃんと言っとくから…それにしてもなんであそこ居たんだ?あの一緒に居た奴も、なんか嫌な感じしたよな」


苛ついた様子でのっちゃんが背もたれに身を預けた。

明日ちゃんと言ってくれるのを、疑う余地は無い。

でもそれが余計な事にならないだろうか?

もしかして明日襲われるのだろうか?

のっちゃんと、居ても、襲われたら、どうしよう。

のっちゃんに危害を加えられたら、どうしよう。


「…」


「ゆずくん?」


恐怖と不安で言葉が出ない。

そんな俺を心配してのっちゃんが隣に座り背中を撫で、手を握ってくれた。


「あいつ、知ってる奴?」


そう問われ、知っているけれど知らないひとで、荒唐無稽な話だけれど、現実に居るひとなんだと分かってしまって。

言わないと、あの夢の悍ましさに押しつぶされそうになって、口走る。


「へ、変な話するけど」


「うん」


「ぁ、あの男にあそこで襲われたんだっ」


「は…?」


「まさかのっちゃんの友達の知り合いだったなんて…最悪…」


急に視界に入っていた景色が変わる。

のっちゃんが、目の前に居る。

え、と。

あ、ベッドに押し倒されたのか。

急すぎて今気付いた。


「のっ、ちゃん?」


俺の両肩を掴んで、のっちゃんが俺を見下ろす。

のっちゃんのはずなのに、のっちゃんなのに、違う。


「俺が我慢してたのに、ふざけんなよ、おれがっ」


「のっちゃ、ま、あっ」


見たことないのっちゃんが、俺の。

























「足、持って」


「や、だぁ」


「駄目、持って」


「うっぐぅ」


「いいこ」


「ぁ、あ、やだぁ…とらないでぇ…のっちゃん…」


「いっぱい、出てくる…すごい、えっちだね」


「のっちゃ…もう、やらぁ」


「まだ、元気そうじゃん」






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