7.これ黒**
「お前が、言った言葉の意味が分かった」
新が捨てていった鞄と携帯を回収する日秋の背中に、一触は口を開いた。
「良い、子だな」
「だろ? 倍額で買ってあげたくなるだろ、睡眠薬」
嬉々として振り返る、自分の神。
歳は遙かに上、だというのに衰えを知らない精神。
「泳がせて、正解だとは言わせないぜ」
「…お前が倍額を払うことで、彼は仕事をしなくても済むからな」
「…なんだ、分かってたの?」
「悪いな」
「可愛くない、不眠症のお前のために買ってたのに」
かちゃん、と刀を担ぐ日秋。
帰りましょうという背中に、一触は少し驚いた。
「追わないのか?」
あれだけ構っておいて、最終的には放置する。
日秋らしいといえば、日秋らしいけれど。
「いいの、日秋さんそこまで優しくない」
だから帰ろう、俺の一触。
空いた手を差し出され、守は神の指示に素直に従った。
「信じてるから、良いの、良い結果を」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。